石川祐希「超えていく」バレー男子52年ぶり五輪メダル獲得へ、24年“龍”神NIPPONの年に

[ 2024年1月7日 04:50 ]

バレーボール・石川祐希

 バレーボール男子イタリア1部リーグのミラノ所属の日本代表・石川祐希(28)がスポニチのインタビューに応じた。日本代表「龍神NIPPON」は23年ネーションズリーグで銅メダルを獲得し、パリ五輪予選を勝ち抜き16年ぶりに自力で本大会出場を決めた。パリでは72年ミュンヘン五輪の金以来52年ぶりのメダルを狙う。エース、主将として日本代表をけん引する石川はどんな思いで勝負の年を迎えたのか。胸中を明かした。(取材・構成 福永稔彦)

23年、石川は次々と快挙を成し遂げた。ミラノでは初の4強入り。日本代表では主将としてネーションズリーグ銅メダル獲得、アジア選手権制覇、パリ五輪切符獲得に導いた。

 「結果を出した一年だった。一番うれしかったのはミラノ(プレーオフ準々決勝)でペルージャに勝ち4強入りした瞬間。次が五輪予選で切符を獲得できた時。ネーションズリーグでも銅メダルを獲った」

 ――23年のベストゲームは?

 「(パリ五輪予選)スロベニア戦がベスト。五輪切符が懸かった試合で一番いいパフォーマンスを出せた」

 ――日本代表が強くなった要因は?

 「海外を経験した選手が増えたこと。僕の他に高橋藍選手、宮浦健人選手らが海外でプレーしている。西田(有志)選手、関田(誠大)選手も以前に海外を経験した。食べ物が違い、言葉も伝わらない環境で生き残らなければいけないので選手、人間として強くなる。そういう選手が増えればレベルは上がる」

 ――石川選手もイタリアに渡り9季目。どう進化した?

 「攻撃力もディフェンス力も上がった。コミュニケーション力、堂々としているところも変わった。ストレスがかかる中でベストパフォーマンスを出さなければいけない経験を積み重ねて、どんな状況でも自分のプレーをできるようになった」

 ――パリ五輪の目標は?

 「メダル獲得が大きな目標。ネーションズリーグは準決勝で負けたけど、最後(3位決定戦)に勝って銅メダルをつかみ取り、決勝に進む難しさやメダルを獲ったうれしさを味わえた。そのイメージを持ちながらメダルを獲得できるように取り組んでいく」

 ――五輪は多くの競技が行われる。他競技から刺激を受ける?

 「バスケットボール、ハンドボールなどが切符を獲得したので球技は力をつけていると思うし、刺激をもらう。五輪と関係ないけど(野球の)大谷(翔平)選手にも注目している。2度もMVPを獲得してトップのトップで結果を残している選手だし、刺激になる」

 ――石川選手も大谷選手も準備を大事にする。準備が結果につながっている?

 「準備しているから結果が出ていると思うが、他の人に当てはまるか分からない。僕はちゃんとしたい。ちゃんとケアして痛みなくバレーをしたい。ちゃんと栄養を取った方が体もつくれるし効率がいい。人それぞれやるべきことは違う」

 ――食事のことに触れたが、毎日夕食のメニューが同じとか?

 「基本はご飯と野菜スープと肉か魚。あとはフルーツとヨーグルト。料理の後にやることが多い。超音波(治療)、ストレッチ、シャワー、体のケアをする時間も長いので料理の時間を減らしたいからそうなる。食事はおいしい、おいしくないより、栄養が取れればいいというのが僕の考え」

 ――ミラノでも大事なシーズンとなる。

 「昨季はベスト4で終わったので決勝に進んで優勝を目指したい。まず4つに残ることが大事なので残れるような戦いをしたい」

 ――個人の課題は?

 「試合によって(プレーの)精度が低い時があるので安定して高くすること。ミラノではディフェンスの役割が多いのでディフェンスを強化したい」

 ――改めて24年をどんな一年にしたい?

 「23年を上回るような一年にしたい。それを超えていく一年にしなければもっといい結果は得られない。もっともっと進化していける一年にしたい」

 ≪13年来のトレーナーと目指す世界一≫愛知県豊橋市で接骨院「スポーツケアルーム/二光治療院」を営む野口嵩広氏(35)は13年にわたって石川をサポートしている。

 11年に星城高バレー部のトレーナーを引き受け、石川と出会った。当時から「筋肉は柔軟でしなやかで瞬発力が高い。肩、股関節の可動域が広い。アスリート向きの体だった」。石川は星城高で2年連続3冠を達成した。野口氏も側面から支えた。

 石川が中大進学後いったん離れるが、2年後に野口氏が中大のトレーナーに。イタリアと日本を掛け持ちでプレーしていた石川は膝と腰の負傷を抱えていたため、シーズン中に一度は海を渡り施術を行うようになった。

 昨秋、代表合宿で腰痛を発症した際も石川は野口氏の治療を受け五輪予選に間に合わせた。「僕の体をよく知っていて安心して体を預けられる」と信頼を寄せる存在だ。

 五輪のメダル獲得は2人の夢だ。野口氏は「石川選手は世界一を目指すと言ってきた。僕もパリに行ってメダルを獲る姿を見たい」と目を輝かせた。

 ◇石川 祐希(いしかわ・ゆうき)1995年(平7)12月11日生まれ、愛知県出身の28歳。星城高から中大に進学。在学中の14年にイタリアに渡りモデナ、ラティーナ、シエナ、パドバを経て現在ミラノ所属。14年日本代表初選出。18、22年世界選手権、21年東京五輪出場。23年ネーションズリーグで得点王に輝き銅メダル獲得に貢献。アジア選手権で優勝しMVP受賞。1メートル92、84キロ。アウトサイドヒッター。

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