【バレー五輪予選】荒木絵里香氏が総括 サーブの収穫と課題、攻撃のバリエーション増、選手層厚くなった

[ 2023年9月25日 05:30 ]

バレーボール・パリ五輪予選女子東京大会兼W杯最終日   日本2―3ブラジル ( 2023年9月24日    東京・国立代々木競技場 )

<日本・ブラジル>サーブを放つ山田(撮影・小海途 良幹)
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 バレーボール女子日本代表は24日、パリ五輪予選東京大会最終戦でブラジルに2―3で敗れ、今大会での五輪切符獲得はならなかった。元日本代表主将の荒木絵里香氏(39)が今大会を総括し、収穫と課題を挙げた。

 今大会では課題も浮き彫りになりました。トルコ戦では相手の強力なサーブに苦しめられました。トルコは、強烈なジャンプサーブを打つバルガス選手はじめ多くの選手が相手を崩すサーブを持っています。第2セット以降、日本はサーブで崩され、レフトからしかアタックが打てなかった。攻撃が単調になり、連続失点につながりました。

 来年のネーションズリーグでも強力なサーバーを擁すチームと対戦します。個人がサーブレシーブの精度を上げることはもちろん必要です。ただサーブで崩される場面は必ずあります。パスが正確に返らない状況でも、攻撃の選択肢をできるだけ多く確保できる範囲に収めることが重要です。ライトのバックアタックが得意な和田選手を入れるなど選手交代も解決策の一つです。

 トルコ、ブラジルには敗れましたが、手応えもありました。その一つがサーブです。東京五輪と比較してサーブに対する意識が変わりました。スピードは速く、精度は高くなりました。ショートサーブ、胸元に食い込むサーブを打った直後にコースを突いたり戦術にも工夫が見られます。

 また、どこに打てばその後のプレーの効果率、サイドアウト率が落ちるかというデータを共有。データを基に狙う場所を決めています。そうした取り組みもあり、サーブで崩し相手に力を出させない戦いができました。

 攻撃のバリエーションも増えました。9メートルの幅(コートの横幅)をしっかり使えるのが強みです。セッターがトスを上げて1秒以内に打つバックアタック「マッハとジェット」はブロックが対応しづらい武器です。セッターがトスを前方に上げると「マッハ」、後方に上げると「ジェット」です。どのチームもやりますが、日本のマッハとジェットは特に速い。マークしようとするとサイドへのブロックが遅れるので、ライト、レフトの速い攻撃が生きてきます。

 高さで劣る日本が世界で勝つには、常に攻撃の選択肢を複数確保し続けることが重要なのです。

 今大会は石川選手、和田選手、松井選手ら途中出場の選手が流れを変えました。誰が出ても勝てるチームになった証拠です。各ポジションにレギュラークラスが複数いたロンドン五輪のチームに似ています。パリ五輪に出場して、ロンドン以来のメダルを獲得してほしい。選手たちは所属チームに戻りますが、常に五輪でのプレーを意識し、スキルアップに取り組んでほしいと思います。(元日本代表主将、トヨタ車体クインシーズチームコーディネーター)

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