阿部兄妹 4度目同日世界一で五輪当確 同時“最速内定”も

[ 2023年5月10日 04:39 ]

柔道世界選手権第2日 ( 2023年5月8日    カタール・ドーハ )

柔道の世界選手権で2年連続4度目の優勝を果たし、金メダルを手にポーズをとる男子66キロ級の阿部一二三(左)と女子52キロ級の阿部詩=ドーハ(共同)
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 男子66キロ級は阿部一二三(25=パーク24)が決勝で通算11度目の対戦となった丸山城志郎(29=ミキハウス)を延長戦の末に指導3の反則勝ちで制し、2年連続4度目の優勝。女子52キロ級は阿部詩(22=パーク24)が5試合オール一本勝ちで2年連続4度目の優勝を果たした。阿部兄妹は18年大会、21年東京五輪、22年大会に続く4度目の同日世界一を達成。ともに2連覇を目指す来年のパリ五輪代表入りを確実にした。

 兄は先に優勝を決めていた妹に歩み寄ると、右手で握手を交わした後、がっちりと抱擁した。通算4度目の兄妹同日世界一。それだけでも大偉業だが、どこか感情を抑えていたのは、目標がまだ先にあるからだろう。

 一二三「パリで2連覇、兄妹でも2連覇。凄く難しいことだと思うが、その目標に向かってもっと自分の柔道を伸ばしていきたい」

 詩「この結果に満足せず、パリ五輪で2連覇するために、また精進していきたい」

 2人の思いは一致していた。

 すでに国内敵なしの妹は、世界でも独走態勢をつくりつつあることを証明した。準々決勝のブシャール戦。東京五輪決勝でも争った難敵の襟を右釣り手で捉えると、電光石火の大外刈りで一本。これまでは両袖の組み手が基本だったが、五輪後から取り組んだ新たな引き出しで圧倒し、「自分の思った以上の動きもできて、今日は少し満足している」と納得の表情を浮かべた。

 そして兄は、ライバル関係に終止符を打ったことを印象付けた。相手の技を見透かしたように受け止め、有効打を許さず。袋小路に追い詰めるように圧をかけ、3つの指導を引き出して完勝。対丸山5連勝で通算対戦成績も7勝4敗とし、「一区切りついたと思う。最後まで強い気持ちで戦い、五輪王者の力を見せられたと思う。日本柔道と言えば阿部一二三と言われるような存在になっていきたい」と自覚を漂わせた。

 早ければ6月にも決まるパリ五輪代表。これまた兄妹同時での最速内定も現実味を帯びてきた。「家族一丸で柔道の道を突き進んでいる。しっかりと2人で優勝することが、私たちの宿命」と詩。隣の一二三も、大きくうなずいた。

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