カタールで再び日本代表が躍動 世界柔道明日開幕

[ 2023年5月6日 12:00 ]

柔道家としても一気に殻を破りパリを目指す舟久保遥香(右)
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 柔道の世界選手権は7日、カタール・ドーハで開幕する。今年は1年2カ月後に迫るパリ五輪に向けて、世界各国の選手がギアを一段階上げて臨んでくるハイレベルな金メダル争いが展開されることが必至。昨年末にはサッカーW杯で沸いたドーハの地に乗り込む日本代表の活躍に注目だ。

 例年秋に開催されてきた世界選手権だが、今年は異例の5月開催。日本の選手も難しい調整を強いられてきたが、大きな〝にんじん〟がぶら下がっている。全日本柔道連盟は3月、「強化システムに関する規程」を改定。早ければ6月にもパリ五輪代表に内定するため、今大会を制すればパリへグッと近づく。

 48キロ級の角田夏実、52キロ級の阿部詩は前年覇者。特に阿部は20年以降は個人戦で対外国人負けなし。昨年は準決勝で東京五輪銀メダルのブシャール(フランス)と対戦し、規定の4分間でポイントで並ばれ延長戦に突入も、最後は内股で技ありを奪い勝利。身上の投げて一本取る柔道に磨きを掛け、一気にパリまで駆け上がりたい。

 57キロ級は初出場の昨年は惜しくも準優勝だった舟久保遥香が2年連続出場。自身の名を冠した〝舟久保固め〟などの寝技が最大の武器だが、昨年の決勝では一度は抑え込みながら、ポイントになる数秒前に逃げられ結果的に敗戦。世界の高い壁にはね返されたが、7カ月の時を経て課題克服に取り組んできた。
今年は2月のグランドスラム・パリ大会で3位も、3回戦では小内刈りで一本を奪い、寝技頼みの柔道からの進化を証明した。1年のテーマに「柔」を掲げ、かたいと自己分析する性格と思考からの打破を目指す23年。柔道家としても一気に殻を破り、パリへの足がかりをつかみたい。

 63キロ級は2連覇を目指す堀川恵に、五輪2大会連続出場の高市未来の2人がスタンバイ。五輪代表争いの観点からも見逃せない闘いになる。そして78キロ超級は東京五輪女王の素根輝が4年ぶりの出場。好調なフランス勢との対戦が楽しみだ。
最終日には日本が6連覇を目指す混合団体が行われる。個人戦代表を逃した団体戦代表で57キロ級の玉置桃、70キロ級の桑形萌花だが、内容と結果で一番手の選手に待ったをかける大きなチャンスでもある。特に21年大会の銀メダリストでもある玉置は、タフネスさでは日本屈指。同僚でもある舟久保に、プレッシャーをかける柔道を見せたい。

 ○…57キロ級のホ・ミミ(韓国)は東京出身で日本人の母を持ち、早大に通う20歳。力強い担ぎ技を武器に昨年は初出場で5位。その後も実績を積んでおり、2度目の舞台で躍進に期待が集まる。63キロ級では東京五輪優勝後の昨年6月に長女を出産したアグベニェヌ(フランス)が出場。〝母でも金〟をまずは世界選手権で達成するか。

 昨年は金メダル2個にとどまった男子日本は、パリへ勢いを付けるためにも倍増を狙いたい。トップバッターとなる60キロ級の高藤直寿は、2連覇すれば6月にも3大会連続の五輪代表内定が有力。66キロ級は五輪王者の阿部一二三とライバル丸山城志郎が2年連続で同時出場。対戦成績は阿部の6勝4敗で4連勝中。五輪へ前進か、待ったをかけるか。両者の直接対決は今大会最大の見どころだろう。
100キロ超級では昨年は惜しくも決勝で敗れた斉藤立が悲願の金メダルを目指す。7カ月前に比べ無駄をそぎ落としたフィジカルは力強さとスタミナを増し、技の切れも増した。83年モスクワ大会に22歳で初優勝した亡き父・仁さんを超える21歳での戴冠を目指す。

 ○…男子100キロ超級は絶対王者と呼ばれたリネール(フランス)が4年ぶりに出場。東京五輪では3連覇の夢破れたが、集大成となる地元での5度目の五輪へ復活しつつある。昨年はベストバウトとの呼び声高い81キロ級決勝を制したグリガラシビリ(ジョージア)、3大会連続優勝と好調な100㌔級のスラマニゼ(ジョージア)にも注目だ。

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