史上初双子V!岩井明愛、逆転で初歓喜 昨年2勝の妹・千怜と刻んだ歴史 8カ月前の涙のハグ再び

[ 2023年4月17日 04:44 ]

女子ゴルフツアー KKTバンテリン・レディース最終日 ( 2023年4月16日    熊本県 熊本空港CC=6523ヤード、パー72 )

妹の千怜(右)と笑顔で優勝トロフィーを持つ岩井明愛(撮影・岡田 丈靖)
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 1打差2位から出た岩井姉妹の姉・明愛(あきえ、20=Honda)が2バーディー、2ボギーの72にまとめて通算7アンダーで逆転し、ツアー初優勝をつかんだ。昨年8月に2勝を挙げた妹・千怜(ちさと、同)に続く初勝利で、国内レギュラーツアーでは男女通じて史上初の双子優勝となった。1打差の2位には申ジエ(34=韓国)ら3選手が続いた。

 2人だから、強くなれた。ウイニングパットを沈めた明愛のもとに、千怜が祝福に駆けつけ一緒に泣いた。妹の初優勝にうれし涙を流して8カ月後、自身もつかんだ念願の勝利だった。岩井ツインズがツアー史上初の双子Vを成し遂げた。

 「本当にうれしい。千怜が初優勝して、自分も優勝できるのかなと思っていた。信じられない気持ちです」

 元世界ランク1位を相手に引かなかった。折り返し時点で首位の申ジエと3打差がついたが「諦めない」と10番のバーディーで2打差に迫る。強風下で相手がスコアを落とす中、チャンスをつくり、パーを並べ続けた。真骨頂は1打リードで迎えた18番パー5。双子で同じ持ち前の「攻め」を貫き池越えの2オンを狙った。2メートルのチャンスは外したが、この姿勢が1打差を制することができた要因だ。

 勝利への強い思いがあるからこそ、心の中は冷静だった。今季、最も成長したのは精神面。気持ちが先走り、スコアが崩れる原因になっていた。今年からラウンド中、あえて「キョロキョロ」と周囲を見るように心がけた。この日も勝負どころで「自分の中に入りすぎないように」と。千怜も「気持ち面が強くなった」と証言した。

 中学時代には同じ髪形にして入れ替わって授業に出席し、先生に10分でバレて怒られたこともある仲良し姉妹。昨年8月に千怜が初優勝からの2週連続Vを飾った。比較されがちな双子。知らない人からも「早く勝ってね」と言われた。だけど明愛は嫌だと思わなかった。「片割れが頑張っていると、自分も頑張ろうと思える」。なぜなら、明愛にとって千怜はライバルではない。「一番近い存在の仲間」だから。

 この勝利によって、2人でツアーの新たな歴史を刻んだ。「2勝、3勝できるように頑張りたい。2人で歴史、つくりたいですね」と明愛。次に狙うはもちろん、妹と同じ初優勝からの2週連続Vだ。

 ◇岩井 明愛(いわい・あきえ)2002年(平14)7月5日生まれ、埼玉県出身の20歳。8歳で競技を始める。埼玉栄高3年時の20年に妹・千怜と全国高校選手権特別大会団体の部優勝。21年6月にプロテスト合格。同年9月の下部ツアーで千怜、明愛と2戦続けて優勝を飾り、レギュラーツアーを含めて国内初の姉妹連続Vとなった。今年3月に武蔵丘短大を卒業。涙もろい性格で最近は映画「美しい彼」を見て涙。プロ転向後のお互いの呼び方は「岩井ちゃんorさん」で理由は「下の名前で言うのが恥ずかしいから」(千怜)。1メートル61、59キロ。

 ≪双子姉妹4組目で偉業≫双子姉妹のツアー優勝は史上初。国内女子の双子姉妹プロはこれまで本山恵子・裕子、久保啓子・宣子、池内絵梨藻・真梨藻、岩井姉妹の4組。海外では、21年の男子欧州ツアーで双子のホイゴール兄弟(デンマーク)が制覇した例がある。ラスムスがスイスの試合で優勝し、次週のイタリアでの大会ではニコライが勝った。

 ≪姉妹のツアーVは史上3組目≫姉妹のツアー優勝は史上3組目。プロテストに合格した姉妹は18組、単年登録も含めると計22組。そのうち姉妹で優勝したのは福嶋晃子(24勝)・浩子(1勝)、堀奈津佳(2勝)・琴音(2勝)と岩井姉妹だけ。

 ≪国内男女ツアーのきょうだいVは4組≫国内男女ツアーで、きょうだいで優勝したのは中嶋常幸(男子48勝)・恵利華(女子4勝)、宮里聖志(男子1勝)・優作(男子7勝)・藍(女子15勝)、香妻琴乃(女子1勝)・陣一朗(男子2勝)、河本結(女子1勝)・力(男子2勝)の4組。

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2023年4月17日のニュース