池江璃花子、個人種目6年ぶり世界切符 病から復帰後の自己新Vに感涙「120%出せた」

[ 2023年4月5日 04:45 ]

競泳日本選手権第1日 ( 2023年4月4日    東京アクアティクスセンター )

女子100メートルバタフライ決勝で優勝を果たし、ガッツポーズの池江(撮影・河野 光希)
Photo By スポニチ

 世界選手権(7月、福岡)の日本代表選考会として開幕した。女子100メートルバタフライは池江璃花子(22=横浜ゴム)が白血病から復帰後の自己ベストを0秒09更新する57秒68で優勝。日本代表に内定し、個人種目では17年世界選手権(ブダペスト)以来6年ぶりの世界切符を手にした。

 スタート台で池江は自らに言い聞かせた。「自分は池江璃花子なんだ。本来なら誰にも負けるはずはない」。苦手のスタートで大きな出遅れはなく、50メートルのターンは4番手。後半にギアを上げて最後はタッチの差で、相馬をかわした。21年4月の日本選手権で記録した白血病から復帰後の自己ベストを0秒09更新。ゴール直後は水面を叩いて喜び「優勝できる自信は1%しかなかったが、自分の力を120%出せた。日本選手権は自分に味方してくれる大会」と目を潤ませた。

 21年の東京五輪はリレー種目のみの出場。昨夏前から調子を落としたが、個人種目で6年ぶりの世界切符を懸けた大舞台で勝負強さを見せた。3月に日大を卒業。卒論では、自身を被験者として過去と現在のけん引パワーを比較。泳速とパワーの関係性を分析した。「闘病前の技術とパワーを同時に取り戻すには時間がかかる」と考察した上で「抵抗の少ない泳ぎを追求したい。技術向上でタイムも向上する」との結論を導き出した。

 19年12月の退院直後から体重は約10キロ増えたが、全盛期と比べてパワー不足は否めず「あと5キロは増やしたい」と肉体的復活は発展途上。技術でカバーするため、1月からはスタートの改善に着手した。力みから抵抗が生まれていた入水時の姿勢を微調整し、入水直後に深く潜るスタイルに変更。最初の15メートル通過タイムを0秒40近く短縮した。

 今大会は50メートルバタフライ、50、100、200メートル自由形にも出場予定。「今の立ち位置では世界と戦えないのは自覚している。でも世界にチャレンジする意味では凄く大きな一歩になった。ここからギアを上げていきたい」。福岡経由で、24年パリ五輪へ。完全復活への道の視界が再び開けてきた。

続きを表示

この記事のフォト

2023年4月5日のニュース