二所ノ関親方が初場所総括 貴景勝 他との実力差は歴然 綱取りへ平常心を心がけて

[ 2023年1月24日 04:39 ]

賜杯を受け取る貴景勝
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 貴景勝が久々に強さを発揮した場所でした。序盤で取りこぼしましたが、そこで崩れることなく1敗で折り返せたのが大きかった。優勝争いしていくうちに相撲内容も良くなり最後まで大関ペースで進んだ印象です。

 3敗目を喫した12日目の霧馬山戦。後ろのお客さんが立ち上がったことを気にするそぶりを見せ、仕切りでは塩でなく籠をつかむ所作を見せた。集中力を欠いているようで心配しましたが、翌日から3日間は物凄い集中力を発揮しました。タイプ的にも集中力は大関にとって重要なファクター。一人大関として15日間結びを取りましたが、相当な重圧の中で最後まで我慢したと思います。

 最近は押し切れなかった時にどう対応するかなど相撲の幅を広げているようです。土俵際の小手投げを決めた10日目の明生戦。千秋楽の琴勝峰戦も中に入ってすくい投げを見せました。突き押しはリスクも多く、馬力に任せて突きすぎると負ける確率は高くなる。一気に押すのではなく、斜め45度で押す方が力が出ると見ています。明生戦のように体の反応の良さで勝利をいくつ拾えるかが、安定した成績を残すには必要になります。

 春場所は横綱昇進を懸けた場所になります。琴勝峰戦のように自分の相撲を取りきれば他との実力差は歴然。気持ちがぶれたり、相手によって感情が揺れるとリズムを崩してしまう恐れがあります。今まで以上に注目されるだけに、周囲に惑わされず休むところは休むなど平常心を心がけてほしいものです。

 相星決戦で敗れた琴勝峰ですが、まだ伸びしろはたくさんありそうです。体の中心部分を強くし、足を内股にしないこと。それには基礎運動あるのみです。現状は上半身と下半身が連動していませんが、そこがうまくいけば誰も手がつけられない存在になると期待しています。新三役で9勝した若元春は毎場所力をつけてきた印象。左四つという型があり、今後が本当に楽しみです。(元横綱・稀勢の里)

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2023年1月24日のニュース