ラグビー元日本代表HC・エディー氏 W杯はサッカー同様多くの番狂わせ起こる
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ラグビーのイングランド代表ヘッドコーチ(HC)を昨年12月に解任されたエディー・ジョーンズ氏(62)が、5日までにスポニチの単独インタビューに応じた。15年W杯では日本代表を指揮して歴史的な3勝を挙げ、03年W杯は母国オーストラリア、19年W杯はイングランドを準優勝に導いた知将。9月8日に開幕するW杯フランス大会や日本ラグビー発展の道しるべなどについて語った。(取材・構成 阿部 令)
――昨年12月に解任。昨秋は1勝1分け2敗と不振も、同国代表HCとして歴代最高の勝率73%を記録した。
「W杯まで導きたかったのでがっかりしている。(協会は)辛抱強さが足りなかった。ただ、7年も務めることができた。本当に素晴らしい経験だった」
――開催国だった15年W杯で1次リーグ敗退を喫したラグビーの母国を再建した。
「最初の仕事はチームを再構築することだった。その後は伝統的なものを崩す作業をしなければならなかった。ただ、イングランド代表としては伝統を壊されたくなかった。なぜなら世界的なステータスがあるからだ。振り返れば、そこが一番難しかった」
――辛辣(しんらつ)な英国メディアとも戦った7年間だった。
「他国はグレーのエリアがあるが、イングランドでは白か黒だった。勝っている時はいいが、負けると猛烈に批判される。だから7年間は一切(新聞記事を)読まなかった。その意味では対応は簡単だった。記者とのやりとりは楽しみの一つとして捉えていた」
――昨年11月には日本代表と対戦し、52―13で勝利。今年のW杯でイングランドと対戦する日本代表はどう映ったか。
「コロナで20年は国際試合ができず、かなり難しい時期があったと思う。15年W杯からは松島、稲垣、リーチしか残っていない。今はどう一体感をつくり、どんなプレースタイルが適切なのか、見つけている段階だろう」
――その試合でイングランドはどんな意図を持って対戦したか。
「“W杯はこういうものだ”と日本にメッセージを送りたかったので、目的を持って準備し、凄くハードにプレーした。(同月対戦した)ニュージーランドやアルゼンチンには全部を見せたくなかったが、日本に対しては自分たちの強さを見せつけたかった」
――W杯開幕まで8カ月。日本にとってポジティブな要素は。
「坂手や姫野が育ち、リーチは再びベストプレーヤーになった。斎藤も改善しているし、中野は凄くいいセンターになる素質がある。あとはコーチ陣がどうバランスを取ってプレーさせるかだ。まだ模索している段階だと思うが、幸い日本には余裕がある。負けてもクビにならない。イングランドではそうはいかなかった(笑い)」
――10回目を迎えるW杯は、どんな大会になると予想するか。
「昨年のサッカーW杯が好例で、過去最も番狂わせが多い大会になる。世界ランク1~6位はほとんど差がない。その下のアルゼンチン、スコットランド、ウェールズ、日本が100%のパフォーマンスを発揮して、トップ6が90%であれば、番狂わせを起こせる。ここまで実力差が小さいW杯は過去になかった。残り8カ月の成長や改善が重要になる」
――日本ではリーグワン2季目が始まった。日本のラグビーに変化を感じる部分は。
「最も変わったのは、チームに入ってくる大卒選手のフィジカルが進化したこと。ストレングス&コンディショニングが強化された結果だ。リーグ自体はトップリーグ時代から進化はしているが、大きな変化ではない。日本の現状を考えれば、1部は10チームに絞るべき。絞ればもっとタフなリーグになる」
――その他に改善すべき点は。
「外国人選手を増やす必要はない。むしろもっと日本人にプレーさせるべきでBチームの大会をつくることが重要。若い選手が質の高い試合経験をする必要がある」
――今後の去就は。
「まだ決まっていない。W杯はあと1回くらいというプランに変更はない。もう一度、国際舞台で戦いたい」
――日本からオファーが来たら受けるか。
「間違いなく検討する。サークル・オブ・ライフという言葉がある。コーチを始めた場所で終わりたい。オーストラリアか日本でキャリアを終わらせたい気持ちはある」
◇エディー・ジョーンズ 1960年1月30日生まれ、オーストラリア・タスマニア州出身の62歳。現役時代のポジションはフッカー。96年に東海大でコーチ業を開始。国代表ではオーストラリア、日本、イングランドでヘッドコーチを務め、W杯では準優勝を2度経験。現在はリーグワン東京SGアドバイザー。母が日系米国人2世で、家族は日本人の妻と1女。
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