報徳学園 高校3冠&初Vへ王手 一人も退部者なしで頂点まであと一歩 “幻の決勝”カード東福岡と激突

[ 2023年1月6日 06:00 ]

全国高校ラグビー大会準決勝   報徳学園26―12天理 ( 2023年1月5日    花園ラグビー場 )

<全国高校ラグビー 天理・報徳学園>前半、好ディフェンスで相手反則を誘い、雄叫びを上げる報徳学園・柏村(撮影・北條 貴史)
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 準決勝が行われ、報徳学園(兵庫)が26―12で天理(奈良)を下し、初の決勝進出を決めた。プロップ木谷光(3年)らFW陣の奮起もあり、練習試合で敗れた相手を2トライに封じ込めて快勝。史上4校目となる高校3冠、兵庫県勢初の優勝に王手をかけた。東福岡は45―17で京都成章に大勝し、強豪同士の花園での初対戦が決定。春の選抜大会で実現しなかった“幻の決勝”カードは、あす7日に行われる。

 攻撃力だけじゃない。高校日本代表候補8人をそろえるタレント軍団の報徳学園が、堅い守りで決勝への道を切り開いた。12―0で迎えた後半10分、天理のプロップ松沢に左隅のインゴールへと入られる。だが、木谷が地面との間に入り込んでトライを阻止。ギリギリで防ぎ、歓喜の雄叫びを上げた。

 「絶対にトライを取られたらダメだと思ったので。あそこで取られたら流れが変わる。死ぬ気で守りました」

 殊勲の背番号3は胸を張った。後半22分には敵陣に攻め込み、最後はFW戦から自身が持ち込んで今大会初トライ。攻守で存在感を発揮した。

 自由な展開ラグビーを特徴とし、高校日本代表候補のSH村田とSO伊藤を軸とした華やかなバックス陣が常に注目を集めてきた。だが、それを下支えするのがFW陣。昨年12月上旬の練習試合では天理に敗れ、特にモールなどで劣勢に立たされた。研究を重ね、大一番では2トライに封じ込めた。

 「ラグビーはFWが体を張らないと始まらない。僕たちが体を当てたら、バックスがトライを取ってくれると信じている」と木谷は言う。現在の3年生38人は鉄の結束を誇り、1年生で入部してから一人も退部者がいない。就任26年目を迎える西條裕朗監督にとっても初めてで「下手な子もいるけど、みんなで受け入れて、楽しくやれているのがエネルギーになっている」という。兵庫だけでなく大阪や東京、広島、岐阜などから集まった面々が、互いを信頼して高め合ってきた。

 高校3冠、そして兵庫県勢初の優勝に王手をかけ、決勝は東福岡と戦う。春の選抜大会決勝ではコロナの影響で対戦できず“代替”の練習試合では敗れた。あの負けからフィジカル強化の必要性などを痛感したこともあり「みんな、ずっと東福岡をイメージして練習してきた」と木谷。最高の舞台で、最強の相手に挑む。(西海 康平)

 【報徳学園メモ】
 ▽高校3冠 冬の全国大会、春の選抜大会に加え、東京五輪強化を目的に14年から始まった夏の7人制大会の3タイトル制覇を指す。東福岡は14年度と16年度に達成。15年度は東海大大阪仰星が、19年度は桐蔭学園が達成している。
 ▽兵庫県勢76大会ぶり決勝 報徳学園は同校史上初の決勝進出。兵庫県勢の決勝進出は、1946年度(第26回大会)の神戸二中(現兵庫)以来76大会ぶり3度目。兵庫県勢の優勝はまだない。
 ▽都道府県別優勝回数 花園の優勝校はこれまで13都道府県から出た。報徳学園が優勝すれば兵庫は14番目となる。優勝回数は大阪が22回でトップ、2位の東京は16回。3位に15回で秋田と京都が並び、5位に福岡が10回で続く。

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