【高校ラグビー】準決勝の展望&注目選手を大畑大介氏が解説 3冠狙う報徳学園、東福岡はどうなる?

[ 2023年1月5日 10:00 ]

報徳学園・炭竃柚斗
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 第102回全国高校ラグビー大会はきょう5日に大阪府東大阪市の花園ラグビー場で準決勝が行われる。高校3冠を狙うAシードの報徳学園(兵庫)はBシードの天理(奈良)の挑戦を受ける。6大会ぶりの頂点を目指すAシードの東福岡はBシードの京都成章と激突。テストマッチ通算69トライの世界記録を持ち、ラグビー世界殿堂入りも果たした大畑大介氏(47)が準決勝を展望し、注目選手を挙げた。 (取材・構成 吉仲 博幸)

 準決勝は2カードとも「攻めのAシード」VS「守りのBシード」という構図だ。

 圧倒的な攻撃力を誇る報徳学園の優位は動かない。4強の中でもやや抜けた存在だ。SO伊藤ら高校日本代表候補8人を擁す布陣。強烈な「個」が際立つだけでなく、その上に「組織力」も乗っかっていて、完成度が非常に高い。決して個人プレーに走ることもなく、試合を重ねるごとに洗練され、仕上がってきた印象だ。

 CTB炭竈が攻守の軸として機能している。前に出る推進力、接点での強さが持ち味。伊藤に加え、決定力のあるWTB海老沢やFB竹之下ら横に速い動きを見せるランナーが多い中、炭竈は縦に突き抜けることができる。縦横と攻撃のバリエーションも多く、防御側はかなり手を焼くことになるだろう。

 対する天理は、準々決勝の長崎北陽台戦でも我慢強く守り切ったように、粘りが身上。攻撃のチャンスはそう多くは見込めない。ただ、セットプレーからのオプションは伝統的に豊富なチーム。ロースコアに持ち込めば、勝機は生まれてくる。攻守で体を張れるフッカー松隈を中心に60分間、集中力を持続させたい。1年生のWTB内田旬も得点に絡むことができるし、チームに勢いをもたらすことができる選手だ。

 6大会ぶりの頂点を目指す東福岡も報徳学園に負けず劣らず、個の能力が突出している。どこからでもトライを奪えるチームだ。特にロック舛尾は1メートル86、105キロの体格を生かしたボールキャリーに秀でた選手。舛尾にフリーな形でボールが渡れば、攻撃力は格段に増す。WTB上嶋も決定的な走りができるランナーで、多くのボールを集めたい。

 京都成章はSO本橋がキーマン。長いキックが蹴れるし、エリア取りもうまい。加えてランニングスキルも高い。ことしのチームはスペシャルな大駒がいない中、バランス良くゲームをコントロールしている。ゴール前のセットピースも一つのカギになるだろう。打ち合いになると厳しい。こちらもロースコアの展開に持ち込み、勝機を探りたい。

 ◇炭竈 柚斗(すみかま・ゆずと)2004年(平16)12月24日生まれの18歳。岐阜県の関RSで競技を始める。50メートル走6秒6。CTB。高校日本代表候補。目標の選手はニュージーランドのマア・ノヌー。1メートル72、91キロ。

 ◇松隈 孝成(まつくま・こうせい)2004年(平16)6月23日生まれの18歳。しながわバンブーRCで競技を始める。50メートル走7秒0。フッカー。高校日本代表候補。目標の選手は父で元クボタの松隈孝三。1メートル73、93キロ。

 ◇舛尾 緑(ますお・りょく)2004年(平16)10月19日生まれの18歳。ぶんごYRで競技を始める。50メートル走6秒9。ロック。高校日本代表候補。目標の選手はOBで東京SG(サントリー)の箸本龍雅。1メートル86、105キロ。

 ◇本橋 尭也(もとはし・たかや)2004年(平16)5月19日生まれの18歳。西神戸RSで競技を始める。2つ上の兄・拓馬さんはOBで帝京大2年(ロック)。50メートル走6秒6。SO、CTB。高校日本代表候補。1メートル82、88キロ。

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