石井さやか 17歳で女子テニス日本代表に抜てき 父はDeNAの琢朗コーチ

[ 2022年11月2日 09:47 ]

17歳で日本代表入りした女子テニス・石井さやか(写真提供HSS)
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 【君島圭介のスポーツと人間】野球界でも2世の活躍は多い。それでも名球会入りの名選手と世界的なテニスプレーヤーの親子はいない。女子テニスの世界ジュニアランキング15位(10月31日付け)の石井さやか(17=HSS)。DeNAベイスターズの石井琢朗野手総合コーチを父に持つ新世代のホープを直撃した(前編)。

 すらりと背が高い。現在は1メートル75。父・琢朗さん(1メートル74)を超えた。

 「すごく悔しがっていました(笑い)」

 父親はプロ通算24年で2432安打を積み上げた名選手。指導者としても広島では鈴木誠也(現カブス)、ヤクルトでは村上宗隆らを指導してきた。今季は古巣のDeNAに復帰し、三浦大輔監督をサポートして前年最下位からリーグ2位の躍進に貢献。競技は違っても親子鷹は厳しい指導のイメージがある。

 「『これをやりなさい』とトレーニングメニューをもらったことはあるけど、うるさく言われたことはない。どちらかといえば母(詩織さん=元フジテレビアナウンサー)かな。小学生の頃、夏休みに3歳上の姉と毎日山手線2駅分走った。母は自転車ですけど(笑い)。帰りにスターバックスでミルクを飲むのが日課だった。今も弟と続けています」

 小学生の頃から全国のトップでプレーし、19年には全国選抜U―14(14歳以下)で優勝。21年には全日本ジュニアU―18(18歳以下)を15歳11カ月で制した。今年は全仏、ウインブルドン、全米のグランドスラムにもジュニア部門で出場し、現在ジュニアの世界ランキングは15位。テニス界では大坂なおみらに続くホープとして期待されている。父譲りの資質なのだろうか。

 「フィジカル的に優れているものはないんです。足も速くないし。アスリートとして似ているものがあるとすれば負けず嫌いなところかな」

 楽しくて始めたテニスからプロを目指すきっかけになったのは小学3年生。父が広島コーチ時代に住んでいた広島で地方大会に出場したときだ。

 「ベスト8でボロボロに負けて。本当に悔しかった。この子に勝てるようになりたい。頑張りたいと思った」

 生来の負けず嫌いに火をつけた相手が1歳上の久保杏夏(きょうか)。元サッカー日本代表FW久保竜彦の次女で、現在も彼女とのライバル関係は続いている。まるで小説や漫画のような話だ。

 今年はジュニア大会ながらグランドスラムデビューも果たし、小学4年生で訪れてから憧れたウインブルドンの芝コートで初勝利を挙げた。

 「1勝したというより、1回しか勝てなかった。その悔しさしかない。日本では体が大きい方だけど、世界はもっと大きい。こんなに強い人がいるんだと思い知らされた」

 昨年9月から練習拠点を錦織圭と同じ米国・フロリダのIMGアカデミーに移した。本格的な世界進出を始め、今年6月にはチュニジアで国際テニス連盟(ITF)主催のシニアツアーに出場して準優勝を飾る。10月の世界スーパージュニアテニスでも準優勝。その実績が認められ、17歳ながら11月11、12日に有明コロシアムで行われる国別対抗ビリー・ジーン・キング杯(旧フェド杯)ウクライナ戦の日本代表に抜てきされた。

 「すごくびっくりした。土居(美咲)さんや青山(修子)さんがグランドスラムでプレーするのを見てきた。同じ日本代表としてプレ―するのは不思議な感じ。緊張もあるけど楽しみ」(後編に続く)

 ★野球と他競技の主な「親子鷹」 84年盗塁王の高木豊(横浜など)の長男・俊幸、次男・善朗、三男・大輔はいずれもJリーガーとして活躍。通算251勝右腕・東尾修(元西武監督)の長女・理子、通算224勝左腕・工藤公康(前ソフトバンク監督)の長女・遥加(はるか)はプロゴルファー。

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