大鵬、貴ノ花、千代の富士、貴花田…繰り返された世代交代のドラマ

[ 2020年5月10日 05:30 ]

1991年5月12日、大相撲夏場所初日。横綱・千代の富士(右)を寄り切りで破る西前頭筆頭・貴花田
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 【Lega-scene あの名場面が、よみがえる。~大相撲編~】昭和、平成の名場面をスポニチ本紙秘蔵写真で振り返る「Lega―scene(レガシーン)」。1991年(平3)5月12日、東京・両国国技館で行われた夏場所初日の歴史的一番。西前頭筆頭の18歳、貴花田(後の横綱・貴乃花)が、国民栄誉賞の大横綱、35歳の千代の富士を初挑戦で破り、新時代の幕開けを強烈にアピールしました。

土俵下に落ちた千代の富士の
顔は笑っていた。
初顔の新鋭にいいところなく
敗れた悔しさよりも
待望の後継者が期待通りに
育ってきた喜びの方が
勝っていたのだろう。

後にこの時の心境を問われ
「やられたなという気持ち。
本当に強くなったなという
驚き。待っていて
良かったな、の思いが
込み上げてきてね…」
と述懐している。
それから2日後
幕内優勝31回を誇る大横綱は
「体力の限界、気力も尽き」
と潔く引退を発表した。

次代のバトンを託された
貴花田は入門4年目の
18歳9カ月。
直前の春場所では
初日から無傷の11連勝で
優勝争いをリードした。
精かんなマスクと
真っ向勝負の取り口が
ファンの心をつかみ
スポーツマスコミだけでなく
ワイドショーのカメラにも
連日追われる
貴花田フィーバーが起きた。

昭和の大横綱、大鵬は
71年夏場所で
貴花田の父・貴ノ花に敗れ
引退を決意。
その貴ノ花は
千代の富士が初優勝した
81年初場所を最後に
土俵を降りた。
繰り返される世代交代の
ドラマにファンは熱狂。
この一番を機に
角界は新時代を迎え
空前の大相撲ブームが
始まる。

 《18歳9カ月最年少金星》貴花田は左からのおっつけで千代の富士の右差しを封じ、一気に前に出て寄り切った。18歳9カ月での金星は史上最年少記録だった。取組後は「金星?そんなことは考えていなかったです。ただ前に出ていくことだけを考えていました」と冷静に話したが、相手の取り口をよく研究した内容だった。この場所は9勝を挙げ敢闘賞を獲得。翌名古屋場所で小結に昇進。北の湖の19歳7カ月を更新する18歳10カ月の史上最年少三役となった。

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