学生最強ランナーから五輪メダリストへ 相沢晃がひた走る“円谷ロード”「同郷で何かの縁を感じます」

[ 2020年4月20日 05:30 ]

春――新たな挑戦

宮崎県延岡市で練習に打ち込む相沢
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 新年度が始まり、新たな一歩を踏み出す選手たちを取り上げていく。東洋大の絶対的エースとして大学駅伝で活躍し、今春からマラソンの名門・旭化成に入社した“学生最強ランナー”相沢晃(22)がスポニチの電話取材に応じた。故郷・福島の偉人で64年東京五輪マラソン銅メダルの円谷幸吉氏と同じく、トラック・マラソンで五輪出場を狙う大きな夢を語った。

 今年の箱根駅伝2区で史上初となる1時間5分台の区間新記録をマークした相沢は、名門実業団チームで静かに社会人生活をスタートさせた。東京五輪1万メートル出場、そして24年パリ五輪ではマラソンで結果を残そうと希望に燃えている。

 「自分より強い選手が大勢いるところじゃないと成長はないと思い、旭化成を選びました。東京五輪が1年延期になりましたが、実業団でしっかり練習が積めるという意味でチャンスと捉えています。パリ五輪は年齢的にも良い時期。マラソンで表彰台を狙います」

 1月下旬に大学の選手寮を退寮した。都内で練習していたが、新型コロナウイルスの感染リスクを考慮して一時的にチームの本拠地の宮崎・延岡に移動。3月下旬の練習で1万メートルで自己ベストに近いタイムをマークするなど早くも大器の片鱗(へんりん)を見せ始めている。

 「延岡でもリスクはあるので1人で走っています。最小限のロード練習と補強は部屋。まだ6割の状態ですが、良いタイムが出せたのは手応えです」

 チームには1万メートル日本記録保持者の村山紘太(27)やリオ五輪マラソン代表の佐々木悟(34)ら日本長距離界のトップ選手たちが在籍。日々、強豪選手たちにもまれている。

 「先輩たちはきつい練習も普通にこなしていて、刺激になった。大学時代は駅伝ばかり取り上げられていたが、先輩たちのように個人種目で注目されたい」

 例年、日本武道館で行われていた東洋大の卒業式は中止。入社式も行われなかった。新社会人の節目としてはもの悲しい部分もあったが、東洋大の酒井俊幸監督からLINEで贈られた言葉が支えになっている。

 「“才能は平等ではないが努力する時間は平等にある”という言葉が印象に残っています。しっかり努力しなければいけないし、それを胸に社会人として頑張りたい」

 今年中に1万メートルの五輪参加標準記録27分28秒突破が目標だ。56年前の東京五輪男子マラソン銅メダルの円谷氏は1万メートルでも6位に入賞した。トラックのスピードをマラソンにつなげた同郷の英雄を理想に挙げる相沢はトラック、ロードの二刀流で世界の舞台を見据えている。

 「理想は1万メートルを27分で走れるマラソンランナー。スタミナとスピードが両立しないと今のマラソンは勝てない。円谷さんのような選手を目指していきたい」

 同じ須賀川市出身。小学3年から陸上を始めた相沢は中学では円谷氏の名を冠した円谷ランナーズに入り、円谷記念ロードレースも走っている。同氏の記念館は何度も訪れ、東京五輪で着用したシューズなどを見て、五輪を意識した。今は大先輩と肩を並べる日を夢見ている。

 「円谷さんは郷土の誇り。小さいころから自然と知っている存在でした。東京ではマラソンは目指せないけど円谷さんのように1万メートルに出られたらいいですね。今年はトラックに集中。来年は12月の福岡国際で初マラソンができたらと思っています」

 円谷氏は24歳で64年東京五輪に出場した。相沢も1年延期となったことで、くしくも24歳で東京五輪を迎える。「同郷ということもあって、何かの縁を感じます」。円谷氏の足跡を追いかけ、追い越そうとしている“令和の韋駄天(いだてん)”相沢の五輪物語は始まったばかりだ。

 【相沢晃(あいざわ・あきら】
 ☆生まれとサイズ 1997年(平9)7月18日生まれ、福島県須賀川市出身の22歳。1メートル78、63キロ。
 ☆競技歴 小学3年から長沼ランナーズで競技を開始。中学時代に円谷ランナーズに入り、高校は学法石川。東洋大では駅伝を中心に活躍。
 ☆スポーツ 小学校時代は水泳や空手、ソフトボールなど多くのスポーツに触れたが「走る以外本当に苦手だった」と陸上一本に絞った。
 ☆趣味 オフの日には新宿や渋谷を中心にスイーツ巡りで息抜き。特に好きなのは「タルト」。
 ☆SNS 大学卒業を機に再開。外出自粛が続く今だからこそ「SNSを通じていろいろできれば」と活用方法を模索中。
 ☆主な実績 19年ナポリ・ユニバーシアードハーフマラソンで金メダル。
 ☆自己ベスト 1万メートル28分17秒81、ハーフマラソン1時間1分45秒。

 ▽旭化成陸上部 1946年(昭21)創部。84年ロサンゼルス五輪出場の宗兄弟をはじめ、91年東京世界選手権優勝の谷口浩美、92年バルセロナ五輪銀メダルの森下広一ら多くのマラソンランナーを輩出した。20年全日本実業団対抗駅伝では最多25度目の優勝で大会4連覇を達成した。選手の拠点は宮崎県延岡市と東京に分かれている。

 ▽20年箱根駅伝2区VTR 14位でたすきを受け取った相沢は予選会日本人トップの伊藤達彦(東京国際大)とデッドヒートを繰り広げると、09年に山梨学院大のモグスがマークした1時間6分4秒を7秒更新する1時間5分57秒の区間新記録をマーク。7人抜きで順位を7位に押し上げた。

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