荒井銀!小林銅!日本男子同一種目初の複数メダル、競歩50キロで快挙

[ 2017年8月14日 05:30 ]

陸上世界選手権最終日 男子50キロ競歩 ( 2017年8月13日    英ロンドン・ロンドン競技場 )

男子50キロ競歩、日の丸を掲げ笑顔を見せる(左から)小林、荒井、丸尾
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 競歩男子50キロで、荒井広宙(ひろおき、29)が銀メダル、小林快(24)が銅メダル。丸尾知司(25)も5位で入賞した。

 五輪メダリストの風格がにじみ出ていた。世界記録保持者のディニ(フランス)が独り旅に出ると、荒井は「つぶれる」と自重。第2集団のボスとしてペースを握った。36キロで「ばらけさせたい」と4人をふるいにかける。ついてきた小林は「呼吸が荒かった」とペースメーカーになって優しくサポート。晴天の中、懐の深い歩みで銀メダルを獲得した。

 「去年の五輪と違うのは集団を操作できたこと。メダルを獲ったことで集団のリーダーになれた」とメダリストの看板を生かしての表彰台に胸を張った。

 初出場の小林は途中で警告が出た際に「荒井さんが声を掛けてくれて平静を保てた」と感謝した。小林は早大では当初、ランナーだった。秋田工では全国高校駅伝にも出場しており、箱根駅伝を目指したが、伝統校の分厚い壁に大学3年で歩く道へ転向。そこで才能が開花した。距離への対応力は抜群で、50キロに挑戦してわずか2試合目で、銅メダルを手にした。

 個人競技の陸上において、ナショナルチームが最も機能しているのが競歩だ。合宿では練習前後に体重を量り、その減少率や汗の成分分析からより効果的な水分摂取をアドバイス。海外から審判員を招き、歩型の修正にも生かしている。今大会前にも審判員の傾向を分析していた。

 荒井と小林は最後示し合わせたように2位、3位でゴール。丸尾も5位入賞と、3人全員が好結果を残した。大英帝国繁栄の象徴、バッキンガム宮殿を背景にしたレースで、日本が競歩王国であることを世界に示した。

 ▼5位丸尾知司 何とか2人のメダルに続くことができて良かった。本当に苦しかったが、たくさんの応援が聞こえて、その力のおかげでゴールできた。

 ▽過去の世界大会での日本勢同時表彰台 世界選手権では女子マラソンで1993年シュツットガルト大会(金=浅利純子、銅=安部友恵)、2003年パリ大会(銀=野口みずき、銅=千葉真子)の2例で、男子は今回の50キロ競歩が初。五輪では1932年ロサンゼルス大会の男子三段跳び(金=南部忠平、銅=大島鎌吉)、1936年ベルリン大会の男子三段跳び(金=田島直人、銀=原田正夫)、同男子マラソン(金=孫基禎、銅=南昇竜)、同男子棒高跳び(銀=西田修平、銅=大江季雄)の4例。

 ◆荒井 広宙(あらい・ひろおき)1988年(昭63)5月18日、長野県生まれの29歳。長野・中野実(現中野立志館)2年で長距離から競歩に転向。福井工大時代は競歩界の名将、小松短大の内田隆幸監督に指導を受けた。歩型が奇麗なことで有名。昨年リオデジャネイロ五輪銅メダル。世界選手権には過去3度出場し、15年北京大会は4位。1メートル80、62キロ。

 ◆小林 快(こばやし・かい)1993年(平5)2月28日、秋田県生まれの24歳。秋田・大館東中―秋田工―早大。高校までは基本的に長距離を専門としていたが、大学途中から本格的に競歩に転向する。卒業後はビックカメラに所属。昨年10月の全日本50キロ競歩高畠大会で初優勝し、初の世界選手権代表入りを決めた。1メートル65、53キロ。

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2017年8月14日のニュース