リレー侍 20年五輪へ夢つなぐ銅「英国が優勝したような喜びを東京で」

[ 2017年8月14日 05:30 ]

陸上世界選手権第9日 男子400メートルリレー ( 2017年8月12日    英ロンドン・ロンドン競技場 )

男子4×100メートルリレー決勝、3位を喜ぶ(左から)多田、藤光、飯塚、桐生
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 男子400メートルリレーの日本は、同種目で大会初の表彰台に上がった。同日の予選からアンカーを代え、多田修平(21=関学大)―飯塚翔太(26=ミズノ)―桐生祥秀(21=東洋大)―藤光謙司(31=ゼンリン)の走順で、38秒04で英国、米国に次ぐ3位。ジャマイカは現役最後のレースとなったウサイン・ボルト(30)が足を痛めて途中棄権した。

 現役日本最速の桐生がどん底からはい上がった。3走で、この種目の世界選手権初メダルとなる銅に貢献。足に異変を来したジャマイカのボルトの横を、アンカーの藤光が駆け抜ける。ゴールした先輩に追いつくと同時に、電光掲示板に3位が示された。

 「1番か8番かというくらい、攻めのバトンで行った」

 文字通りイチかバチか、従来より1足分離れて待つように藤光に伝えた。つなぐ相手が予選のケンブリッジから急きょ変更になっていた。全体6位のタイムだった同日の予選は、バトンミスが目立った。より勢いよく渡せるように、各選手が13〜28センチほど、いつもより遠めで待った。わずかな差の積み重ねが0秒17の短縮を呼んだ。リオ五輪銀メダルメンバーが出番も危うい“控え”の立場。必死だった。

 現地入り後は、連日の市内散策。自転車で名所ビッグベンへも行った。100メートルは日本勢3人そろって予選を突破。200メートルはサニブラウンが決勝へ。「観光は気を紛らわせるため。部屋でレースを見ていたら悔しい気持ちを持って臨むことになる」。気分転換を挟みながら、たった1日の出番に備えた。

 表彰台とはいえ、終始3〜5番手で、英国、米国には差をつけられたのは事実だ。ボルトのアクシデントがなければ4位だった。

 ただ、頂点は遠くても希望もある。リオ五輪のメンバーは桐生、飯塚のみ。2人が代わっても上位争いをした。桐生は「これぞ日本の陸上という感じで盛り上げていきたい」と自信を深めた。ここに、大躍進のサニブラウン、山県、ケンブリッジが加われば、どうなるのか。日本陸連伊東浩司監督は「英国が優勝したような喜びを、東京では国民のみなさんと味わえれば」と期待を込める。ロンドン発の栄光の懸け橋は、2020年へとつながっている。

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2017年8月14日のニュース