豪栄道 史上初カド番全勝V さあ18年ぶり日本出身横綱誕生へ

[ 2016年9月26日 05:30 ]

境川部屋に到着した豪栄道(左)は地元ファンの祝福を受ける

大相撲秋場所千秋楽

(9月25日 両国国技館)
 14日目に初優勝を決めた大関・豪栄道(30=境川)が、大関・琴奨菊(32=佐渡ケ嶽)を寄り切り、史上初のカド番からの全勝優勝を果たした。日本出身力士では1996年秋場所の横綱・貴乃花以来、20年ぶりの全勝Vとなった。11月の九州場所では横綱昇進に挑む。なお、九州場所は11月13日に福岡国際センターで始まる。

 賜杯を抱く前に、もうひとつの快挙をなし遂げた。琴奨菊との大関対決で堂々と勝ち名乗りを受け、94年名古屋場所の武蔵丸以来となる全勝初優勝は、史上初のカド番全勝V。初優勝に花を添えた。

 「朝の時点では気持ちが切れていた。気持ちを持ち直して、いい相撲が取れた。場所に入って、気合を入れていこうと」

 立ち合いで左を差され苦しい体勢になりかけたが、優勝の重圧から解き放たれた体は素早く反応。右を巻き替えてもろ差しになると力強く寄り切った。「来場所のことを考えるよりも、今場所の最後をいい相撲で締めたかった。大満足です」と胸を張った。

 千秋楽の朝は晴れやかな顔つきで朝稽古。前夜は200件を超す祝福メールに返信しながら、浮かれることなく深夜0時30分には就寝した。3月の春場所から続けている場所中の禁酒も貫いた。「酒の席って楽しい。それを我慢することによって結果に結びつくこともあるかなと」。優勝を決めた14日目の夜でさえ、祝杯は乾杯の際のビール1杯のみ。これが今場所中、唯一のアルコールだ。

 来場所はいよいよ綱獲り場所。八角理事長(元横綱・北勝海)は「全勝優勝は立派だ。自信がついただろう。この勢いを九州場所につなげてほしい」と期待を込める。

 98年名古屋場所の3代目若乃花以来、日本出身横綱は生まれていない。稀勢の里も、初場所優勝の琴奨菊も、綱が懸かった大事な場所で不本意な成績に終わった。しかし、豪栄道の勝負強さと自己管理を貫く意思の強さは頼もしい限りだ。打ち上げパーティーの会場で、今一番したいことを聞かれると「とりあえず、ゆっくりのんびりしたい」と笑顔。つかの間の休息を取った後に、綱獲りロードが始まる。

 ▼二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)次は綱獲りの重圧を乗り越えていかないと。今の相撲内容なら大丈夫ではないか。

 ▼横綱審議委員会・守屋秀繁委員長(千葉大名誉教授)この全勝優勝は重いし、大きい。来場所の綱獲りにつながる。内容も良く、先場所までの不成績を帳消しにするだろう。(日本人横綱が)出ればみんなが喜ぶと思う。

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