桐生 7月欧州転戦、公認9秒台へボルトら相手に武者修行

[ 2015年4月28日 05:30 ]

陸上の世界リレー大会に向け、意気込みを語る桐生祥秀

 陸上男子100メートルで10秒01の記録を持つ桐生祥秀(19=東洋大)が7月に欧州転戦を計画していることが27日、分かった。世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)を含め、2、3試合の出場を目指して大会側にも希望を伝えている。桐生は過去の海外試合は1大会のみの参戦で、数試合転戦すれば自身初となる。最大目標の世界選手権(8月、中国・北京)へ、ハイレベルなレースで強化を図る。

 ハイレベルな環境に身を置くことが、19歳の進化を後押しする。桐生は6月13日のDL・ニューヨークGPに招待され、世界記録保持者のウサイン・ボルト(28=ジャマイカ)と激突。「一緒に走るのは楽しみ。いい結果で終わりたい」と気合を入れているが、7月には自身初となる欧州転戦を検討していることが判明した。

 桐生サイドは7月11日にスペインで行われる、DLより格下の大会出場を視野に入れている。同4日にはボルトもエントリーしているDL・パリ大会、17日にはDL・モナコ大会があり、ともに100メートルが実施される。「大会側にはリクエストを出している」と東洋大の土江コーチ。日本選手権が6月26~28日に開催されるため、パリ大会への出場は強行軍になるが、最大で3週連続、欧州でのレースになる。7月1日に開幕するユニバーシアード(韓国)は回避する方針だ。

 3月のテキサス・リレーでは、追い風3・3メートルの参考記録ながら9秒87をマークし、12年ロンドン五輪5位のベイリーを撃破。強力ライバルの存在は、桐生にとってプラスに作用する。「DLみたいな試合に出る方が、スイッチが入りやすい」と土江コーチ。今年の最大目標・世界選手権へ、強豪が集うDLは格好の前哨戦だ。

 桐生は今月の織田記念国際では100メートルの予選は10秒36、決勝は10秒40と不発に終わった。「ビックリするくらいダメージもなかった。いい結果じゃなかったけど、そういう時もある。ここから勝っていけば、織田のことなんて忘れる」。日本初の公認9秒台を刻むのは5月の国内大会(ゴールデンGP、関東学生対校選手権)か、それとも海外か。歴史的瞬間に向けて、再び加速する。

 ▼ダイヤモンドリーグ 国際陸連(IAAF)が主催する世界最高峰のリーグ戦。ゴールデンリーグとスーパーグランプリが統合され10年に新設された。各大会の各種目1位には1万ドル(約119万円)、年間のポイント最上位選手には4万ドル(約480万円)とダイヤモンドトロフィーが贈られる。

 ≪世界リレーのバハマに出発≫桐生はこの日、400メートルリレーに出場する世界リレー大会(5月2、3日、バハマ)に向け、成田空港から出発した。同大会で8位以内に入れば、16年リオデジャネイロ五輪の出場権を獲得。ここで逃してもリオにはタイムで8チームが追加されるが、「出るからには8番以内に入らないといけない」と力を込めた。山県、高瀬ら中心メンバーが不在で、桐生にはエースの期待が懸かる。ボルトと同走する可能性もあり、「走りを見たい。そこから感じられるものもある」と話した。

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2015年4月28日のニュース