川内 女子マラソン選考で持論「優勝して選ばれないというのは…」

[ 2015年3月13日 18:20 ]

左足首の捻挫で、目標を下方修正した川内

 15日のソウル国際マラソン出場のため、13日に現地入りした川内優輝(28=埼玉県庁)が、世界選手権(8月、中国・北京)の女子マラソン選考について語った。

 名古屋ウィメンズで日本歴代8位となる2時間22分48秒をマークして日本人トップの3位に入った前田彩里(23=ダイハツ)、同大会で2時間24分42秒で日本人2位だった伊藤舞(30=大塚製薬)に次ぎ、3枠目に選出されたのは大阪国際で2時間26分39秒の日本人トップ(全体3位)の重友梨佐(27=天満屋)だった。横浜国際で優勝(2時間26分57秒)した田中智美(27=第一生命)は落選した。

 「やっぱり、優勝して選ばれないというのはどうなんでしょうか…。他にも優勝している選手がいるのなら、まだ分かりますけど。重友さんは(大阪国際で)トップに3分以上つけられたのに、笑ってゴールしていたのも私は気になりました。ただ、選ばれたことについて、重友さんは何も悪くないし、罪はないですよ」

 11日の会見で日本陸連の酒井強化副委員長は、レース内容が選考理由と説明。田中は暴走したペースメーカーに付いていかなかったことが消極的とされた。大阪国際はペースメーカー不在で、重友は前半からハイペースで走り、後半に失速した。

 「ペースメーカーが機能しない時、タイムが出ないと思ったら勝負に徹するのも戦略。ついていかないというのも、1つの勝つための手段なんです。始めに突っ込んで後半タレるというのは、中高生みたいなレース。私もよくあるので、人のことは言えませんが…」

 日本陸連は選考で有利になる設定記録(女子は2時22分30秒)を導入したが、誰も突破できなかった。代表に選出されたのは、結果的にタイムの上位3人だった。

 「設定タイムを切っていないのに、タイムで選ぶのもおかしい。名古屋のタイムは速いけど、切っていない以上、土俵は同じ。私は優勝の田中さんを真っ先に選ぶのもありだと思った」

 酒井強化副委員長は、海外招待選手のレベルも選考理由に挙げた。

 「そんなこと前から言ってましたか?メンバーのレベルなんて、エントリーしてみないと分からないですよ!」

 そもそも気象条件の違う大会で比較することが難しいのに、ペースメーカー(PM)の設定も各大会で違う。女子では横浜国際が20キロまで、大阪国際はなし、名古屋は30キロまでPMがついた。男子では福岡国際が20キロまで、東京、びわ湖毎日が30キロまでだ。

 「男子なら福岡が不利ですよね。20キロ以降、けん制したらタイムは出ないし、それで消極的と言われても…。ペースメーカーはなくていいと思いますよ。ただ、東京は絶対になくさない。主催者側が国内記録(09年福岡国際・ケベデ、2時間5分18秒)を破らせたいと思っていますから。足並みは揃わないでしょうね」

 川内は12月の福岡国際で16年リオデジャネイロ五輪切符を狙うことを公言している。
 
 「一番最初の国内選考会に出るのは、かなり不利な気がします。福岡に出る気持ちは変わらないけど、出ると良くないのかなと思いますね、ああいう選考を見ていると。東京の方が海外招待のレベルは高いでしょうし。メンバーが弱かったと言われたら、優勝しても選ばれないかもしれない」

 どうすれば透明性のある選考ができるのか。

 「3人のうち2人は一発選考で選んで、残りの1人は実績などで総合して選ぶ。それか、タイムの基準を決めて、切れなきゃダメにする。そうすればタイムが出なさそうなレースは選ばない」

 最初の案では結局、最後の1枠でもめるのは必至。2番目の案では、タイムが届かずに枠が埋まらない可能性も秘めている。

 「一番おもしろくて、明確にするなら、一発選考方式でやるしかないですかね」

 日本の長距離・マラソン界は実業団を頂点とするシステム。選考する側も、実業団の関係者だ。実業団ランナーは疑問を持っても、なかなか声を上げづらい。そんな中、孤高の公務員ランナーは決然と口を開いた。 

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