修造氏 錦織の今季を語る(1)もう挑戦者ではない…トップの考え方に変化

[ 2015年1月7日 09:25 ]

コアラを抱いて笑顔の錦織 (AP)

 シーズンの始まりはいつも胸が高鳴る。ただし、テニスファンにとってこれほど待ち遠しいシーズンインは初めてだろう。スポーツキャスターの松岡修造氏(47)も開幕を待ちわびていた一人だ。昨年の全米オープンで準優勝した世界ランキング5位の錦織圭(25=日清食品)は、どんな活躍を見せてくれるのか。既に開幕戦のブリスベン国際でダブルスに出場し、いよいよシングルスにも登場する。19日から始まる4大大会の全豪オープン(メルボルン)でWOWOWの解説者を務める松岡氏が錦織について熱を込めて語った。

 オフに錦織をインタビューした松岡氏は新シーズンを迎える錦織の姿勢に大きな進化、成長の一端を感じ取ったという。

 松岡氏 僕にとっては驚きであり、喜びでもあった。「2015年も挑戦者、チャレンジャーの立場で頑張る。去年と変わらずにやっていく」と言うだろうと思っていたら、圭は「そうじゃない」と言った。「今年は(今の地位を)維持しないといけない。トップの選手のつもりでその中でどう戦っていくか」という話だった。

 今のポジションを守りながらどうやってトップにいくか。その中に責任という言葉も出てきた。ランク上位選手としての責任、アジアのトップとしての責任。これはもう完全にトッププレーヤーの考え方になっている。

 日本のエースは今や世界で一目も二目も置かれる存在になった。他競技のトップアスリートにも取材などで数多く接してきた松岡氏は、錦織と彼らに共通する新世代アスリート感覚を見いだす。

 松岡氏 僕が“強い”と思うアスリートは羽生さん(フィギュアスケート)、萩野さん(競泳)、松山さん(ゴルフ)。圭と年齢が近いところで考えたら、この3人は強い。何が凄いかというと、僕らの常識が彼らの常識になっていない。

 僕が世界に入っていったときは「やっぱり世界は凄い」「かないっこない」「こんなところ夢のようだ」という感覚でいた。それが圭たちは「同じ人間なんだから勝てないわけない」と考えている。いい意味で謙虚さは必要だが、謙虚さが邪魔をしてきたのも日本人。そうした常識を変えてくれている。「勝てない相手はもういない」という言葉がまさにそう。あれが今の圭の武器であり、日本のアスリートが持ち始めているもの。そこが僕には魅力的に映る。

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