稀勢もう負けた 綱獲り3日目で早くも黄信号

[ 2013年7月10日 06:00 ]

栃煌山につきおとしで敗れガックリ土俵にもどる稀勢の里

大相撲名古屋場所3日目

(7月9日 愛知県体育館)
 綱獲りの重圧と苦手意識という2つの見えない敵が稀勢の里の足をばたつかせた。栃煌山にもろ差しを許さないように脇を締めて低い体勢でじっくり前へ。だが「攻めきれなかった」と慎重になったのが落とし穴だった。

 相手の攻めを意識しすぎるあまり、不意に繰り出された左の突き落としにバッタリ。13勝以上の優勝が求められる状況で痛恨の1敗を喫した大関は土俵上では表情を崩さなかったものの、花道を引き揚げる際に無意識に首をかしげていた。

 過去12勝8敗、大関昇進後は3勝4敗。終盤まで優勝争いの先頭にいた昨年夏場所も12日目にこの相手にさえ負けていなければ逆転優勝をさらわれていなかったはず…。苦手意識を克服すべく場所前には自ら志願して出稽古を行って胸を合わせたが、7勝11敗と負け越し。「全てを考え直してやるしかない」とうなだれた。この日の朝稽古後には「生きると思うし、生きなきゃ意味がない」と胸を張った予行演習。取組後には「出稽古の苦戦が影響した?」との問いに「そうですね」と認めざるを得なかった。

 北の湖理事長(元横綱)は「この1敗の尾を引かないようにしないと」と残りの12日間に期待し、朝日山審判部副部長(元大関・大受)も「3日取って負けて横綱になった人はいる」と背中を押した。帰り際、弟弟子の高安が日馬富士に立ち合いでいい形をつくった瞬間、支度部屋のテレビで見守った大関は一言。「よし(左が)入った!」。後輩の奮闘に刺激を受けたのがせめてもの救いだった。

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2013年7月10日のニュース