桐生 世界陸上でリレーも!メダルへ“お家芸”磨く

[ 2013年6月11日 06:00 ]

1日の京都インターハイ400メートルリーレー決勝でバトンを受け取る桐生(左)。洛南高ではオーバーハンドパスを採用

 メダルを追って、ワンダーボーイがバトンパスを磨く。日本陸連は10日、都内で世界選手権(8月10日開幕、モスクワ)の代表を発表した。男子100メートルで10秒01の記録を持つ桐生祥秀(17=京都・洛南高)は日本初の9秒台突入を狙うだけでなく、400メートルリレーの出場も決定的。強化サイドはバトンパスに重点を置いた合宿を7月に計画しており、チーム最年少の17歳は先輩とのコンビネーションを高めて初の大舞台に臨む。

 初の大舞台を前に、胸の高鳴りを抑えきれない。都内での会見に参加しなかった桐生は、ビデオメッセージで「もっともっと自分を高めていって、世界で勝負できるように頑張りたいと思います」と気合を入れた。今大会の日本代表で最年少の17歳。100メートルで日本初の9秒台に期待が懸かるのはもちろんだが、400メートルリレーでメダルの可能性も十分にある。

 鍵を握るのは、日本が得意とするバトンパスだ。桐生が在学する洛南高では、上からバトンを渡す「オーバーハンドパス」を採用しているが、日本代表は下からバトンを渡す「アンダーハンドパス」。2月の陸連主催の短距離合宿でアンダーハンドの練習を行っているが、慣れていない状態。陸連関係者は「もっと練習する必要がある」と説明し、バトンパスに重点を置いた合宿を計画していることを明かした。

 短距離代表の山県、飯塚は7月12日までのユニバーシアード(ロシア・カザン)に出場する。桐生も7月30日から全国高校総体(大分)が控えているため、日程は7月中旬以降になる予定だ。昨年のロンドン五輪は山県が1走、飯塚がアンカーの4走。世界選手権でも同じ配置になれば、桐生はバックストレートを走る2走での起用が有力。洛南高ではバトンをもらうだけの4走だが、2走なら次走者へのバトンパスがあり、合宿が貴重な時間になる。

 世界選手権でメダルを獲得すれば、日本陸上界で最年少。「応援してくださる皆さんのためにも、もっともっと強くなって、世界で戦えるようになり、世界の大きい舞台で活躍するようになります!」。100メートルの9秒台に加えて、リレーでのメダル。17歳のワンダーボーイには、どんな夢だって実現可能だ。

 ▽バトンパス 米国、ジャマイカなどが採用する「オーバーハンドパス」は受け取る走者が手のひらを上に向けて伸ばし、渡す走者が上からバトンを入れる。バトンパス時に距離を稼ぐことができる半面、大きなミスが出やすい。日本、フランスなどの「アンダーハンドパス」は受け取る走者は手のひらを下に向け、渡す走者が下から上へバトンを入れる。距離は稼げないが、減速せずに受け渡しができ、安定している。

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2013年6月11日のニュース