沙羅はカナヅチだった!「泳げるように」水中トレ導入

[ 2013年3月20日 06:00 ]

ジャンプ女子総合優勝を決めた高梨沙羅はクリスタルトロフィーを手にガッツポーズ

 雪の女王が水の中に飛び込む。スキージャンプ女子の高梨沙羅(16=グレースマウンテン・インターナショナル)が19日、ノルウェーで行われたW杯最終戦を終え、成田着の航空機で帰国した。今季の全日程を終えて、オフシーズンは“カナヅチ返上”のために水泳に取り組むことを明かした。足に負担をかけずに強化できる水泳は高梨にとって一石二鳥。五輪シーズンとなる来季に向けて水中トレーニングに励む。

 スキーを履いていれば高さ100メートル以上のジャンプ台だって怖くない。ところが、プールに飛び込むとなると、ほんの数メートルでも気が引ける。「私は泳げないので、泳げるようになりたい」。W杯最年少総合女王の意外なカナヅチ告白。オフに取り組みたいことを聞かれると、高梨は照れ笑いを浮かべながら答えた。

 もちろん水泳への取り組みは単なるカナヅチ改善だけが目的ではない。シーズン中の高梨は、すねなど足に痛みを訴えることがあった。他の選手より飛距離が出すぎるため、緩斜面に着地して衝撃が大きくなる。試合が重なれば必然的に足にダメージがたまってくる。

 オフは足を休め、それと同時に強化していかなければならない。そのためには水泳は最適な方法だ。牧野講平トレーナーは「既に昨オフからプールでのウオーキングはやってもらってる」と説明。軽い運動をあえて行うことで疲労回復を促す「アクティブレスト」の一環でもあるという。ただし、女王にもなった今、そろそろウオーキングは卒業してビート板を使ったバタ足、さらにダイナミックなクロール、バタフライぐらいは期待したいところだ。

 シーズンを終えた高梨は「疲れもあるけどそれ以上に大きなものを得た」と会見で満足げな笑みを見せた。その横にはドイツのガラス工房「ヨクカ・クリスタル」製の地球形クリスタルトロフィー。「シーズンを終えて最高のご褒美はこれだと思います」と総合覇者の証にうれしそうに手を当てた。来季はいよいよ五輪シーズン。「その前にもっとレベルアップしないと」。カナヅチを返上した先に金メダルはある。

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