松本薫“らしさ”爆発「魔法の杖欲しい!」

[ 2012年12月19日 06:00 ]

スポンサーの帽子をかぶって笑顔を見せる村田(左)と松本

2012毎日スポーツ人賞

 「2012毎日スポーツ人賞」(スポーツニッポン新聞社共催)の表彰式が18日、東京都港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で行われた。個人賞を受賞したロンドン五輪柔道女子57キロ級金メダリストの松本薫(25=フォーリーフジャパン)は、クリスマスプレゼントに「魔法の杖(つえ)」を熱望。ともに五輪3連覇を達成しグランプリを獲得したレスリング女子55キロ級の吉田沙保里(30)、同63キロ級の伊調馨(28=ともにALSOK)を食う“らしさ”を爆発させた。

 表彰ラッシュのラストを飾る晴れ舞台で柔和一辺倒だった松本の目が、一瞬、光った。目前に迫ったクリスマスについて聞かれた時だ。「サンタさんにもらいたいものですか?うーん、魔法の杖です」。会見場に一瞬の沈黙が流れ、笑いに変わる。だが、松本はさらに前に出た。「魔法使えたらうれしくないですか?まず、空を飛びたい」

 空を飛ぶようにブレークした。ロンドン五輪の開幕3日目で日本選手団の金メダル1号を獲得。闘志あふれる表情は「野獣」と評され松本の存在を知らしめた。帰国後も多くのイベントで「妖精を見た」などの発言を繰り返し、人気者となった。その締めが、魔法の杖。「透明人間になって、一本取りたい」と不思議キャラに変わりがないことを証明した。

 だが、金メダリストとしての自覚もまた、十分だ。「これまでは頂点に立つため、周りを考えずにやってきた。頂点に立ったら景色が違った。次からは自分だけのために戦うんじゃない。モチベーションが違う」。日本柔道の看板選手として、周囲への感謝の気持ちを込めて、勝ち続ける決意。「これからも一戦一戦、大切に戦いたい」と来年5月の全日本選抜体重別(福岡)へ向け表情を引き締めた。

 復帰戦となるはずだったグランドスラム東京大会は右腕のボルト除去手術のために欠場したが、17日から都内で始まった全日本合宿には合流した。「現実的に欲しいのは、包丁研ぎ。自炊してるんですけど、最近、包丁が切れないんで」と切れ味鋭いオチまで披露した25歳。魔法の杖がなくたって飛躍できることを証明した一年を終え、13年は松本時代を堅固にするための一年となる。

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2012年12月19日のニュース