日馬富士 初場所1桁勝利なら横審“引退勧告”

[ 2012年11月27日 06:00 ]

日馬富士を厳しい口調で批判した横審の鶴田委員長

 日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会(横審)は26日、東京・両国国技館で9人の委員(欠席3人)が出席して定例会合を開き、九州場所で9勝6敗に終わった新横綱・日馬富士(28=伊勢ケ浜部屋)を痛烈に批判した。会合では、来年初場所(1月13日初日、両国国技館)でも1桁勝利に終わった場合は“引退勧告”を示唆する意見も出るなど、横綱2場所目で早くも進退問題に発展する可能性も出てきた。

 日馬富士が早くも土俵際に追い込まれた。この日の会合の話題の中心は、九州場所で23度目の優勝を飾った白鵬ではなく、新横綱として史上初の5連敗、史上3人目の1桁勝利にとどまった日馬富士。鶴田卓彦委員長(元日本経済新聞社社長)は会合後の会見で「日馬富士の成績は悪い。2桁の勝ち星が得られないのは横綱としての資格はないということ。調子が悪かったかもしれないが、少なくとも13勝2敗、悪くても11勝4敗の成績は収めないと」と厳しく批判。さらに「連敗はダメ。最近例がないし、もっと自覚してもらいたい」と突き放した。

 会合では、2桁勝利を挙げられなかったことへの批判が相次ぎ、一部委員からは、来年初場所でも2桁勝利を挙げられなければ“引退勧告”すべきとの意見も出たという。重鎮の沢村田之助委員(歌舞伎俳優)も「新横綱の緊張感は並大抵ではないし同情するべきだが、9勝6敗で5連敗は情けない」とばっさり。続けて「来場所1桁ならばもう引退ですよ。横綱が1桁はダメですよ。10勝は挙げてほしい」と叱責(しっせき)した。

 思えば、日馬富士は史上3人目の2場所連続全勝優勝で横綱に昇進。横審は「張り手はダメ」と品格には注文をつけたが、目を覆うばかりの成績不振は想定外だったに違いない。昭和以降の横綱で最も在位が少なかったのは、場所中の日米野球観戦を批判されて角界を追放された前田山の6場所。くしくも前田山の最後の場所も5連敗を喫していた。歴史は繰り返すか。

 ▼横審の権限 横綱が成績不振やふさわしくない行為に及んだ場合、横綱審議委員会は出席委員の3分の2以上の決議により「激励」「注意」「引退勧告」等を行える。

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2012年11月27日のニュース