「縁起いいかも」服部カモシカ遭遇でスコア伸ばした

[ 2012年9月1日 06:00 ]

9番に現れたニホンカモシカを見る服部真夕(左)

女子ゴルフツアー ゴルフ5レディース第1日

(8月31日 岐阜県瑞浪市 みずなみカントリー倶楽部=6537ヤード、パー72)
 今季1勝の服部真夕(24=LIXIL)が前代未聞の珍事に見舞われた。9番で、国の特別天然記念物・ニホンカモシカと遭遇。それでも、直後のショットを1メートルにつけてバーディーを奪うと、ボギーなしの4アンダーで首位と2打差の8位につけた。福田裕子(30=関西軽井沢ゴルフ倶楽部)が6アンダーでトップ。有村智恵(24=日本ヒューレット・パッカード)も5アンダーの2位と好発進した。

 目の前にいらっしゃるのはカモシカかも…。いや、そんなジョークを言っている場合ではなかった。珍客の出現は9番。第2打に差しかった服部は20メートル先の黒い物体に驚いた。謎の生物は何と、同組の穴井のそばに接近した。

 「(動物が)どんどん(穴井)詩さんに近づいたから、エッ?エッ?という感じでした」。穴井の姿を確認した生物は、その場を去り、事なきを得たが、正体は国の特別天然記念物、ニホンカモシカだった。このほどニホンカワウソが絶滅種に指定されたが、岐阜県内には数千頭いるとみられ、山間部のゴルフコースに迷い込んだとみられる。野生の姿を目にすること自体、珍しく、日本女子プロゴルフ協会も「猿や鹿はあるが、カモシカのコース乱入は聞いたことがない」と目を白黒させた。

 とんだハプニングで恐怖心も芽生えたが、「縁起がいいかもしれません」と前向きに捉えられる精神面の強さが服部にはあった。珍客が去った直後の第2打。残り104ヤードをAWで1メートルにつけて、2つ目のバーディー奪取。この勢いで後半も2バーディー。ボギーなしの4アンダーをマークした。

 首位に2差の好発進。獲得賞金では1位の全美貞(韓国)と約4200万円差をつけられているが、貴重な経験を克服しただけに「頑張ります」と言葉に力を込めた。崖地を好むニホンカモシカのように、崖っ縁からの巻き返しを狙う。

 ▼1位・福田裕子 アイアンの調子が良かった。嫌なライが今はない。(初の首位)

 ▼14位・穴井詩 こういう時は背中を見せてはいけないと思って目を見た。でも近づいてきたので、自分に迫力がないのかな、と思って目をそらしたら、サーっと行ってしまった。(ニホンカモシカが3メートルほどに接近)

 ▽ニホンカモシカ ニホンカモシカの資料が豊富にそろう三重県立博物館によると、明治時代半ばから個体数が減り、1955年に特別天然記念物に指定された。以降は棲息数が回復して、現在は国内に約10万頭が棲息しているとみられる。好奇心が強く、人の姿を見ると首をかしげてジッと見る性質があることから「山の哲学者」とも言われる。危害を加えた場合、5年以下の懲役、30万円以下の罰金などが科される。

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2012年9月1日のニュース