稀勢の里 必殺「左おっつけ」で連勝スタート

[ 2012年1月10日 06:00 ]

突き落としで安美錦(手前)を破る稀勢の里

大相撲初場所2日目

(1月9日 両国国技館)
 新大関の稀勢の里が初日から2連勝を飾った。最大の武器である左からの攻めで、相撲巧者の安美錦を突き落としで下した。06年初場所の栃東以来となる日本人優勝に向け順調な船出となった。3連覇を狙う横綱・白鵬も豪風を冷静に押し倒して連勝。初日黒星の大関・琴奨菊は新小結・若荒雄を得意のがぶり寄りで寄り切った。横綱、大関陣は安泰だった。

 153キロの相手を1回転させた。稀勢の里は、相撲巧者の安美錦の右かち上げをものともせず前に出た。そして、相手が前まわしを狙いにきたところを、今度は自身の最大の武器である左からの強烈な“おっつけ”で突き落とす。すると相手の体が一瞬浮き上がり土俵上で1回転した。「きょうはきのうより落ち着いていた」。まさに新年に掲げた「破壊力」という今年のテーマを象徴する相撲で初日から2つの白星を並べた。

 元日の鳴戸部屋。11月に先代師匠(元横綱・隆の里)が亡くなって初めての新年会の場で、最年長の十両・若の里が「“原点”である先代の教えを守ってみんなで頑張っていこう」とあいさつした。続いて立った稀勢の里も「先代の教えを守って相撲の幅を広げる」と誓いを立てた。

 その先代も認めた左からの攻めは稀勢の里にとって“スペシャル”な武器となりつつある。朝稽古で連日30~40番の申し合いを重ねてきた弟弟子の幕内・高安はその破壊力について「半端ないですよ。腕が折れそうになるぐらい。普通のおっつけではない。同時に上から押さえつけられる感じ」と説明する。昨年の秋場所にはその左からの攻めで転がした白鵬が、痛みで苦悶(くもん)の表情を浮かべたほどだった。

 それでも本人は左からの攻めについて「(完成は)まだ」と満足はしていない。この日の取組についても「よく言えば最初で決めたかった。ちょっと見ちゃいました」と納得していない様子。06年初場所以来の日本人優勝に向け、新大関はまだまだ進化を止めるつもりはない。

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