稀勢の里“流血”3敗…白鵬に気合負け、大関獲りへ正念場

[ 2011年11月24日 06:00 ]

白鵬に“かち上げ”を食わされ鼻血を流す稀勢の里(左)。寄り切りで敗れ3敗目

大相撲九州場所11日目

(11月23日 福岡国際センター)
 大関昇進を目指す関脇・稀勢の里が横綱・白鵬に激しい攻防から寄り切られ、3敗目を喫した。白鵬には過去1年で3勝2敗とリードしていたが、この日はかち上げで鼻から流血するなど、気迫で圧倒された。昇進の目安となる11勝には残り4日で3勝が必要となり、正念場を迎えた。1敗だった新大関・琴奨菊は平幕の栃乃若にはたき込まれて2連敗。優勝争いは全勝の白鵬を2敗で琴奨菊と平幕の若荒雄が追う展開になった。
【取組結果】

 ちゅうちょしながら飛び込んだ稀勢の里を待っていたのは、横綱の痛い一撃だった。前日は「後の先」(立ち遅れているように見えながら先手を奪っている立ち合い)で鶴竜を圧倒した白鵬は強烈な右の“かち上げ”で先制。あまりの衝撃で、稀勢の里は鼻から流血した。いつもは先に攻めて横綱を慌てさせていたが、「完全に封じ込められた。守るのに必死だった」。突き押しで応戦する場面もあったが、白鵬十分の右を差されると防戦一方。巻き替えにいったタイミングをつけ込まれ、寄り切られた。

 痛恨の3敗目を喫し、花道を引き揚げてきた稀勢の里は支度部屋前で「クソー」「ダメだ」と絶叫。風呂から上がり、床山に髪を結い直してもらっている最中には「気持ちが…。気持ちで負けた。気持ちだけだと思います」とうなだれた。白鵬戦は昨年九州場所で連勝記録を63で止めるなど過去1年で3勝2敗と勝ち越し。負けられないという気持ちが横綱の方が強かったのかと尋ねられると「そうです」と悔しそうにつぶやいた。

 昇進の目安となる直前3場所33勝には残り4日で3勝が必要。しかも、過去1年で一度も勝っていない把瑠都、琴奨菊の難敵が待つ状況だ。昇進の判断を担う審判部の三保ケ関副部長(元大関・増位山)は「もう負けられない。正念場」と厳しい目線だが、放駒理事長(元大関・魁傑)は「(土俵際で逆転勝ちした)琴欧洲戦を除いては勝っても負けてもいい相撲を取っている」と評価した。

 過去には若ノ花(後の初代若乃花)、北の富士が過去3場所28勝で昇進を果たしており、実力と内容が大関にふさわしいと評価されれば、昇進することもある。「まあやることをやるだけ」。道のりは険しくなったが、残り4番に全てを懸けるしかない。 

 ◇稀勢過去の白鵬戦◇

 ▼10年九州場所2日目 立ち合いから白鵬が土俵際まで押し込んだが、稀勢の里は張り手で応酬。張り手を返した白鵬はバランスを崩し、稀勢の里十分の左四つの体勢となり、そのまま寄り切った。連勝を63で止められた白鵬は「これが負けか」と嘆いた。

 ▼11年初場所11日目 白鵬は右差しを狙うも、稀勢の里は左おっつけで横綱の体勢を崩した。さらに重い突っ張りを繰り出し、相手のはたきに乗じて押し出し。

 ▼11年技量審査場所10日目 稀勢の里は立ち合いから小刻みな突っ張りで土俵際まで押し込んだ。白鵬は冷静にうまく回り込んで押し出し。

 ▼11年名古屋場所10日目 突きで先制した白鵬が右四つ、左上手をつかむと、すかさず上手投げで豪快に転がす。

 ▼11年秋場所12日目 稀勢の里は左おっつけで白鵬の右差し手を完全にロック。白鵬はたまらず受け身を取るように1回転。土俵下で横綱は左手で右肘を触り、痛みを気にした。

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2011年11月24日のニュース