理恵“完全燃焼”20位「最後まで楽しく演技できた」

[ 2011年10月14日 06:00 ]

全競技を終え、笑顔で手を振り引き揚げる田中

体操世界選手権第7日

(10月13日 東京体育館)
 完全燃焼だ。女子個人総合決勝で、田中理恵(24=日体大大学院)は合計54・699点で20位に終わった。09年ロンドン大会銅メダリストの鶴見虹子(19=朝日生命)は合計54・999点で15位。予選2位のジョーディン・ウィーバー(16=米国)が59・382点で初優勝した。14日の男子個人総合決勝で前人未到の3連覇を目指す内村航平(22=コナミ)は最終調整をこなした。

 全ての種目で、今のベストを尽くした。昨年は最も美しい演技をした選手に贈られるロンジン・エレガンス賞を受賞した個人総合で、田中が完全燃焼だ。昨年の17位から順位を落としたが、下は向かない。「最後まで笑顔で楽しく演技できたので良かった。全種目、思い切ってやった」とスマイルを浮かべた。

 団体総合決勝で精彩を欠いた2種目目の床運動で、着地やターンにミスが出た。落下がつきものの平均台、段違い平行棒と違い、床でのミスは想定外。「自分でもビックリした」。2種目終了時点で最下位の24位に転落した。残り種目をまとめたが、20位に浮上するのが精いっぱい。「一つ一つ確認しながら練習しないといけないことを教えてもらった」と振り返った。

 兄・和仁、弟・佑典ときょうだい3人で臨んだ大舞台。個人総合決勝では、弟の思いも背負っていた。佑典は9日の男子団体総合予選の床運動で負傷して残りの種目をこなせず、前日(12日)の同決勝の鉄棒では落下した。前夜、落胆する弟から届いたメールは、「試合頑張って」と締めくくられていた。会場で声援を送った兄と弟に後押しされ、田中の世界選手権は幕を閉じた。

 来年は、今大会でともに戦ったチームメートとの激烈な争いが待つ。ロンドン五輪代表選考会は全日本選手権、NHK杯の2大会(ともに開催日未定)が有力。世界選手権の代表は6人だが、五輪は5人と道は険しくなる。今大会では床運動、跳馬での海外勢との筋力差を痛感した。日体大大学院を修了する来春以降も、環境を変えずに練習を続ける予定。「ロンドンまでトレーニングをやり直して、変身して帰ってきたい」。さらに美しく、そして強くなって、五輪ロードを駆け抜ける。

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