ツアー未勝利の河井 “遼流パット”で首位守る

[ 2011年5月15日 06:00 ]

<日本プロゴルフ選手権>3日目、18番、バーディーパットは惜しくも決まらなかったものの6アンダーで首位タイに立った河井

男子ゴルフツアー日本プロ選手権日清カップヌードル杯第3日

(5月14日 兵庫県小野市・小野東洋ゴルフ倶楽部=7158ヤード、パー71)
 男子ゴルフツアー日本プロ選手権日清カップヌードル杯第3日、ツアー未勝利の河井博大(39=フリー)がグリーン上で粘りを見せ、4バーディー、2ボギーの69で回り、通算6アンダーで首位を守った。66で回ったペ・サンムン(24=韓国)が首位に並んだ。国内最年少メジャー優勝を狙う石川遼(19=パナソニック)は、プロ転向後自己ワーストタイとなる4連続ボギーを叩くなど、後半に失速して74。通算3オーバーの26位で、首位との差が9打に広がった。
【第3R成績】

 最後も“遼流特訓”が試されるような距離が残った。18番パー4。河井は2・5メートルのパーパットを慎重に沈めると、深く息をついた。ムービングデーも2つ伸ばしてホールアウト。首位をキープしたツアー未勝利の伏兵は「上出来、出来過ぎです」と声を震わせた。

 偶然の出合いに感謝せずにはいられない。9日に訪れた大阪府内のゴルフ専門店で目にしたのは、昨秋のツアー会場で石川がパッティングの練習で愛用していた「インパクトボックス」。当時は「勇気がなくて聞けず指をくわえて見ていた」という憧れの品だ。たばこの箱よりやや大きいサイズの箱で、パターと箱の面が確実に当たらないと真っすぐ進まないため、フェースの向きを確認できる。2100円という値段に少し迷ったものの「これで稼げるなら」と購入。2メートル強あるパターマットも買い、毎晩ホテルで練習を重ねていた。

 効果はてきめんだった。13、16番のバーディーパットや、9、14、15番のパーパットはいずれも2・5メートル前後だった。長尺パターに手を出したことがあるほどパットは苦手。一昨年の終盤にクロスハンドにしたことで昨年の平均パット数のランクが103位(1・86)から82位(1・83)に上昇したものの、不安はぬぐえなかった。そこで手にした石川遼公認の新兵器。技術を磨くと同時に「これだけやったんだからという自信をつけることもできた」と謙虚な39歳がメジャーに立ち向かう原動力にもなった。

 自身2度目の最終日最終組。「もうドキドキ。1打1打勇気を持って振っていけるか」と早くも緊張感を漂わせた。しめて4000円の練習器具で、3000万円の優勝賞金をつかめることができるか。

 ◆河井 博大(かわい・ひろお)1971年(昭46)11月13日生まれ、広島県出身の39歳。中学3年でゴルフを始め、瀬戸内高校では田中秀道の1年後輩。日大を経て、広野GCで研修生となり、96年のプロテストに合格した。最高成績は昨年のつるやオープンなどの3位。賞金ランクは昨年の42位が最高。得意クラブは1W。1メートル81、70キロ。

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