頼もしい白鵬「俺が帰ったら日本が終わる」

[ 2011年3月20日 06:00 ]

大島部屋での出稽古を終え引き揚げる白鵬

 大相撲の横綱・白鵬(26=宮城野部屋)が19日、国技の屋台骨としての責任感を口にした。東日本大震災の影響で国外脱出を希望する外国出身力士が増える中、「俺が帰ったら日本が終わる」と日本滞在を明言。今後も相撲道に精進することを誓った。さらに、夏場所が開催された場合には懸賞金を全額被災地に送ることも示唆した。

 日本を、そして国技を思う気持ちの表れだった。白鵬はこの日、出稽古先の東京都墨田区の大島部屋で幕内・旭天鵬らと22番を消化。稽古後には、原発事故で外国出身力士らに動揺が広がっていることに触れ「俺は帰らないよ」と日本に滞在する意向を示した。そして「俺が(モンゴルに)帰ったら日本が終わってしまう。相撲があれば、日本があると思っている」と“国技の看板”としての責任感を口にした。

 原発事故による放射線漏れの問題は、他のプロスポーツにも及んでおり、外国人選手が一時帰国するケースが続出している。角界でもグルジア出身の十両・黒海やモンゴル出身の星風らが一時帰国を希望したが、相撲協会は許可なく部屋から離れてはいけないことを通達しており、いずれも却下された。横綱は他の力士の動きについては明言を避けたものの「(原発事故は)海外のメディアでも報じられている。国内の情報とどちらを信じていいか」と不安そうに話した。だが、大相撲を守りたいという気持ちは揺るがなかった。

 被災地に対しては、大阪の摂津倉庫を通じて日清食品のカップヌードル10万食を送ることを明かした。さらに夏場所が開催された場合には懸賞金(手取り3万円)を全額寄付することも示唆。白鵬の場合、1場所あたり300~400本を獲得しており、約1000万円が被災地に届けられることになる。夏場所開催については、あらためて「早く決めてほしい。決定すればすぐにでも力士会を開いて支援活動などを話し合いたい」と要望。「現地に行けないのがつらい」ともどかしさも感じているが、その思いは被災地に届くはずだ。

続きを表示

2011年3月20日のニュース