長かった道のり 川口「歌えるように覚えておかないと」

[ 2010年1月21日 11:55 ]

優勝した川口組の演技

 ロシア語で受けた場内インタビューの最後に「スパシーボ」と感謝した後、日本語で「ありがとう」と付け加えた。日本出身選手で初の欧州チャンピオンに輝いた川口は「初めての人になったのはうれしい。五輪でも初めての人になりたい」と間近に迫ったバンクーバー五輪に目を向けた。

 ロシアの隣国エストニアの首都タリン。客席では数多くのロシア国旗が振られ、熱い声援を送られた。「観客がエネルギーをくれた。スタンドと一体になれた」。息の合った演技を終え、取材エリアで質問に答えている最中にライバルの得点が表示された。逆転優勝が分かると、思わずスミルノフに飛び付いた。
 ジュニア時代はシングルの有望選手。1998年長野五輪を見てペアにあこがれ、ロシア人の名コーチ、モスクビナさんの弟子になったが、道のりは長かった。パートナーに恵まれず、4年前にようやくスミルノフとめぐり合った。「悠子はすごい努力家」と相手が舌を巻く練習熱心さで、徐々に階段を上がった。
 旧ソ連時代の64年インスブルック大会から、ロシア勢は五輪のペアで12連覇中だ。表彰台の真ん中で聞いたロシア国歌を「歌えるように覚えておかないと」。伝統国の代表という重責を担う28歳の顔に自覚が浮かんだ。(共同)

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2010年1月21日のニュース