ニラみ合いで横審VS北の湖もニラみ合い

[ 2008年5月27日 06:00 ]

横綱審議委員会では横審と協会幹部が真っ向から対立した

 横審と協会幹部が真っ向から対立した。大相撲の横綱審議委員会が26日、東京・両国国技館で行われ、初優勝を飾った大関・琴欧洲(25=佐渡ケ嶽部屋)の綱獲りそっちのけで、千秋楽で乱闘寸前のにらみ合いをした朝青龍(27=高砂部屋)と白鵬(23=宮城野部屋)の両横綱に話題が集中。ケンカ両成敗を主張する横審を「白鵬が悪い」とする協会幹部が押し切ったが、前代未聞の「2横綱呼び出し注意」で決着した。

【大相撲優勝額


V逸両横綱 結びの一番後ににらみ合い

 40分間の激論の口火を切ったのは、内館委員だった。冒頭で北の湖理事長がこの日午後に白鵬の師匠、宮城野親方(元十両・金親)を呼び出し、注意したと報告。それにかみついた。「両者が悪いのでは。なぜ白鵬だけなのか、納得する話をしてほしい」。他の委員も同調したが、北の湖理事長は譲らなかった。
 「(朝青龍のダメ押しは)流れの中のこと。白鵬が悪いから注意した」と説明し、協会幹部も賛同。最終的に“ダメ押し論争”は専門家の見解を尊重することになり、ご意見番が白旗。内館委員は「私はダメ押しと思いますが、相撲を取った人がダメ押しでないというのなら」と苦笑いした。
 問題の夏場所千秋楽結びの横綱対決は、引き落としで勝負がついた後に朝青龍が土俵に手を突いた白鵬を横から押した。怒った白鵬が右肩から朝青龍に体当たりしたことで、両者が土俵上でにらみ合う醜態となった。
 横審は、朝青龍の行為がダメ押しでないことは認めたが「白鵬だけが悪いというのでは世間も納得いかない」と引き下がらず、土俵上でにらみ合った行為に対して両横綱に注意を与えることで決着した。海老沢勝二委員長は「2人の行為は、大相撲の長い歴史の中でも好ましい態度ではなかった」と苦言を呈した。
 北の湖理事長が珍しく興奮して反論するなど、議論は白熱したという。おかげで琴欧洲の綱獲りの話題は完全に蚊帳の外で、海老沢委員長も「何勝すればなどという話にはならず、単なる意見交換になりました」と振り返った。早ければ27日に両横綱が呼び出されて注意を受けるが、夏場所最大の功労者が割を食ったことは確かだ。

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2008年5月27日のニュース