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梅山修氏 J1新潟、同点から3分後の失点が試合決定づけた

[ 2023年6月13日 04:30 ]

一時同点となるゴールを決めた新井
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 【元アルビ・梅山チェック 新潟1―3京都】この日もボール保持率、シュート・パス数などスタッツは圧倒的だったが、3失点で敗戦。一般論としてサッカーで下馬評の高いチームが勝つ確率は53%といわれていることも含め、数字だけでは測れないサッカーの難しく、面白いところだ。

 意図的な打開という意味では、普段の試合と比べると距離の長いパスが多かった。3人のFWと3人のMFを中心に、前線から人に対する強烈な圧力をかけることが特徴の一つである京都に対して、人に向かってくる矢印を折る手段の一つとしてチームで狙いが共有されていたのだろう。

 具体的には3人のFWのうち、両サイドの2人はSBへのパスコースをふさぎながら、つまり外側から内側に向かってプレッシャーをかけ、内側では3人のMFが新潟の高と秋山、そして伊藤へのパスを奪おうとする意図が感じられた。

 中盤の3人は新潟のエンジンであるし、京都としてはそこを消すことと、奪えれば最短距離でゴールに向かうことができる。両チームにとって試合の重要なポイントとなる部分だった。

 前半6分のシーンが象徴的だった。GK小島から左サイドの小見へのロングパスで京都の6人を一気に裏返した。さらに谷口に短くつないで相手が集結したところで、左SB田上が逆サイドのダニーロ・ゴメスへ一気にサイドチェンジ。最後は谷口がクロスに飛び込んだ。ダニーロの相手に向かって仕掛ける姿勢とリズミカルなドリブル、右サイドに入る左利きのアタッカーの存在は今後、新潟の鍵を握るだろう。

 前半は相手の高強度な守備に苦しみながらも意図的に打開を図ろうとし、後半は開始から押し込み続けた。27分に同点にした時点で、ホームサポーターとつくり出す逆転の気運は手にしたはず。しかしこの試合を決定づけたのは、わずか3分後の失点。時間とボールの失い方が燃えかけた火の勢いを止めてしまった。せめて同点の時間を長くしていれば、火は炎になっただろうと想像する。

 この日は海外移籍を発表した伊藤のラストゲームだった。厳しいマークに遭いながらも相手の意表を突くシュートやパス、コントロールなど、要所要所で違いを見せていた挑戦者の夢と希望にエールを送りたい。(アルティスタ浅間監督)

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2023年6月13日のニュース