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梅山修氏 新潟、前半はゲーム支配も舞行龍退場後は前線の起点失い失点

[ 2023年4月4日 06:00 ]

ボールを運ぶ新潟・秋山
Photo By スポニチ

 【元アルビ・梅山チェック 1日 新潟1―3名古屋】前半の新潟は素晴らしかった。中盤付近で構える名古屋の守備に対して、ポジショニングと少ないタッチのパスワークで守備の的を絞らせずに試合を支配した。その配球の中心になっていたのが今季リーグ戦2度目の先発となったMF秋山だ。

 元々ゲームメークに定評のある秋山は、攻守に次を予測する力と守備の強度を身に付け、今季そのポテンシャルを公式戦の場で披露する時間を増やしている。彼の成長がチームの安定した戦いに直結するといえる。

 前半35分の先制点のシーンは自陣のFKを短くつなぎながら中盤で一度、そしてゴール前でもう一度相手を左右に揺さぶった。最後にMFダニーロ・ゴメスが放った低い弾道のシュートをGKがはじき、いち早く反応したFW太田が詰めて決めたもの。前半のボール保持率63%という数字と試合の優勢度がマッチした戦いぶりだった。

 しかし、その1分後にDF舞行龍がレッドカードで退場。その穴を埋めるべく交代策はFW鈴木に代えてCBとして田上を投入。サッカーでは基本的に守備側の人数からそりえるのが一般的で、この策も当然選択されるべき一手だ。

 ただこの交代は同時に、相手が前から来た時に一気に裏返す手段を失うことを意味する。攻撃の起点たる伊藤がボールを受けてもその前には受け手がおらず、ショートパスで前進を試みるしかなくなってしまった。退場者がいなくても背後へのランニングやパスがない相手に対しては、前がかりに守備に出てもリスクは少ない。この状況によって名古屋は勢いを持って新潟陣内に圧をかけ、何度もクロスボールを入れてきた。失点は攻守にわたる前線の起点を失ったことによるものといえるだろう。

 もちろん新潟ベンチも手をこまねいていたわけはなく、両サイドにスピードのあるMF三戸とMF松田、ボランチにボール奪取に優れたMF高という3人を同時に投入。カウンターで反転一撃を狙ったのは、ベンチが冷静に状況を把握していたことがうかがえる。

 サッカーでは人数が少ないチームが必ずしも負けるとは限らない。前がかりの相手にカウンターで一撃を与えることができるから。チームも選手もこの日の痛みを伴う経験からの学びをポジティブに捉えたい。(アルティスタ浅間監督)

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2023年4月4日のニュース