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梅山修氏 J1新潟、状況に応じ最適プレー 本当の強み披露

[ 2023年3月14日 04:55 ]

川崎F戦で決勝ゴールを挙げた新潟・伊藤
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 【元アルビ・梅山チェック 11日新潟1-0川崎F】近年のJリーグを代表するチームの一つと言っていい川崎Fに対し、新潟が積み上げてきたスタイルがどれだけ通用するのかが最大の注目だった。

 新潟は序盤、川崎Fの攻守の切り替えの速さとその強度、また実際のプレーの圧だけでなく、精神的にもプレッシャーを受けているようなパスや判断のズレからボールを失う。見ている側にとっては力の差を感じるような状況だった。

 しかし、一見そのような試合の入りも、ピッチ上の選手たちは受け身の状態ではなく、意図を持ってプレーしていたことを開始10分前後から思い知ることになる。

 というのも、新潟はしっかりと4―4―2の布陣を敷き、そこに入ってくるボールを狙いながら、奪った際には鋭いカウンターを何度も繰り出していたからだ。常に優勢な状況はないし、常にボールを保持できるわけではない。またボール保持率の高さが勝利を約束するものでもない。

 自分たちが理想とする状況でなくても、その時点での最適解をチームとして選択できる。J2を制した昨季のように、圧倒的にボールを保持しながら前進するのは一つのスタイルではあるが、今の新潟の本当の強みは、状況に応じて最適なプレーを選択できるところだ。

 前半9分にFW鈴木が、17分にはFW太田がカウンターから決定的な場面を迎えた。いずれもその起点となったのは、開幕から全得点に絡む大活躍を見せている伊藤。ちなみに彼が決めたゴールも相手陣内でDF渡辺が素晴らしいポジショニングとボール奪取をしてから、たったの3秒で決めたものだ。

 他にもスピードに乗った状況かつ、プレッシャーを受けた状況から見る側も欺くような2本の非常に惜しいループシュートを放つなど、彼のアイデアとそれを実行する技術は、今Jリーグで最もゴールを予感させる選手の一人だ。

 先制した後は、より前がかりになる相手に対し、カウンターをちらつかせつつ、ボールを動かし自分たちのスタイルとリズムに持っていく試合運びも見事だった。

 新潟は開幕からC大阪、広島、札幌、そして川崎Fとシステムや戦術の異なる相手から、勝ち点だけでなく大きな自信と経験をも獲得しながら成長を続けている。次節のアウェー浦和戦も目が離せない。(アルティスタ浅間監督)

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2023年3月14日のニュース