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森保監督の“根幹”19年ぶり再版「森保一 自伝ぽいち」 昨年W杯でドーハの悲劇が「ポジティブに」

[ 2023年1月25日 04:30 ]

22年12月、日本代表練習で笑顔を見せる森保監督
Photo By スポニチ

 サッカー日本代表の森保一監督(54)が選手時代を振り返る「森保一 自伝ぽいち」(青志社)の新装版が25日、発売される。W杯カタール大会で、強豪ドイツとスペインを連破して世界を驚かせた指揮官の原点が描かれた一冊。森保氏は本紙の取材に「選手としても、監督としても僕は潤滑油的な存在。人と人の間で動き、組織がうまく機能するのが喜びで僕に合っている」と語った。

 現役引退直後の2004年に出版されてから19年。自伝はこの本しかなく、W杯の活躍で問い合わせが相次ぎ再出版となった。図書館関係者の要望もあり、子供も読みやすいようルビを増量した。

 日本代表まで上り詰めながら「小学生の頃から、僕より上手な選手はたくさんいた」と記した現役時代。スポーツコメンテーターで共著の西岡明彦氏も「技術や身体能力の高くない選手でも、最高レベルで戦う事が不可能ではないと証明した」とつづっている。守備的MFとして、前線と守備の間で黒子に徹した姿勢は、監督を務める今も同じ。「その役割こそが僕のサッカーの喜びだった。今は仕事が違うが根幹は同じ」と森保氏は語る。

 日本サッカー初のW杯本大会出場に近づいた1993年のアジア予選も丁寧に描かれる中で「ドーハの悲劇」と呼ばれ、アディショナルタイムに失点したイラク戦だけは、ほとんど記述がない。試合を「まるで思い出せない」。プロのサッカー選手として必ずビデオを見返す習慣があるとしながら「あの試合だけは今でも観(み)ようと思わない」と書いている。30年がたつ今も「いまだに見返したことがない」と明かす。ただ昨年、監督としてドーハの地でドイツに逆転勝ちしたことで「僕にとっても、日本サッカーにとってもポジティブに変換された経験となった」と語った。

 監督として再び挑むW杯。「経験は積み重なっていくが考え方や行動原則の根幹は変わらない。時代の変化、状況の変化に対応しながら前進していきたい」と意気込んだ。

 ≪「楽しむこと忘れずに」 「ビジネス書」の一面も≫「秀でた能力や素質はなかった」としながら、世界の舞台で戦った経験がつづられた同書には「ビジネス書」の一面もある。森保氏は「どんな世界でも自分の武器、特徴を出すのは必要。それがなければ全般的にレベルを上げてオールマイティーになるのも一つの手」と指摘。その上で「組織の1ピースとなることを考えすぎて、充実感ややりがいがなくなっては意味がない。楽しむことを忘れずに」とアドバイスした。

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