×

森保JAPAN 鎌田は選出間違いなし、GKシュミットの追い上げ…スポニチ取材班が見た代表サバイバル

[ 2022年9月29日 05:00 ]

エクアドル戦の前半、懸命に守備をするシュミット(中央)ら日本イレブン(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 W杯カタール大会前の最後の合宿となるドイツ遠征を行った日本代表は27日、国際親善試合エクアドル戦で0―0で引き分けた。これで本大会のメンバー発表前の試合を全て消化。4―3―3から4―2―3―1への布陣変更など戦術面を“W杯仕様”にブラッシュアップするとともに、最終局面に入った選手間の熾烈(しれつ)な競争でアピールに成功したのは――。スポニチ取材班の河西崇、古田土恵介の両記者が今遠征を振り返った。

 河西 選手選考も兼ねた9月のドイツ遠征をどう振り返る?

 古田土 布陣変更も含めて“W杯仕様”が随所に見られた。「1カテゴリー2チーム」構想も、今になって考えれば本大会から逆算して6月から試していた。成功したかどうかは別として…。

 河西 個人的には欧州で最終選考ができたのが大きかったと感じた。これが「日本で」となったら、状態にばらつきがあって評価が難しくなったと思う。

 古田土 欧州組の精神的な負担も少なかったんだろう。練習から動きは良かった。酒井は「移動が本当にきつかった。全然体が動かなかった」と合宿2日目に言っていたけど。

 河西 エクアドル戦は控え組にとってはアピールの場となった。特に気になったところはある?

 古田土 正直、物足りなかった。特に前線は米国戦の先発組が披露したような連動はなく、個人のアピールを優先したように映った。その割に収穫は少なく、課題ばかりが目についたのが残念だ。

 河西 2試合を通じて1トップ争いは明暗が分かれたような結果だった。前田、上田が特長を印象づけた一方で、古橋と町野はインパクトを残すまではいかなかった。

 古田土 前田のプレスは圧巻だった。当確を出してもいいのでは?ただ、やはり「大迫がいれば」と思う場面は少なくなかった。

 河西 鹿島担当として上田を取材してきたけど、良い意味で日本にいたときとは全然違ったことに驚いた。ベルギーで自信を付けたのか、ミックスゾーンでも落ち着いて話し、別人のようだった。ポストプレーも果敢にチャレンジしていた。1点取れたら覚醒するんじゃないだろうか。

 古田土 中盤だと気になったのは久保。4―3―3のときとは逆の左サイドでのプレーだったが、機を見て中央に入って存在感を示していた。左サイドに流れる鎌田との相性も良さそうだった。

 河西 遠藤、守田の2ボランチの形がはまっていた。「鎌田システム」といってもいいトップ下も効果的。エクアドル戦で途中出場しても別格だった。鎌田はもう当確は間違いなしでいい?

 古田土 ケガ以外で外れる気がしない。2ボランチでは田中は少し評価を落としたかな。でも、4―3―3との併用なら遠藤、守田と組み合わせられる。攻撃センスにあふれる司令塔は外せない。

 河西 守備は板倉の復帰次第だが、冨安がセンターバックも右サイドバックもテストできたのが収穫だった。

 古田土 その意味では伊藤も十分だろう。やはりポリバレントな選手は強い。また、長友は練習からチームを引っ張る姿勢を見せていたし、エクアドル戦では球際でさすがの勝負強さだった。

 河西 正GK争いはシュミットの活躍で面白くなってきた。

 古田土 権田が負傷離脱したのは痛かったが、それを見事に埋めた。3枠だと残り1人だが、川島の経験値は捨て難い。

 河西 逆に危険信号がともったと思ったのは?エクアドル戦で先発した柴崎は効果的な働きができずに微妙だなと感じた。

 古田土 出番のなかった谷、瀬古、旗手は厳しい。国内組の町野に頑張ってほしいが、本人が「世界の壁を肌で感じた」と言っていたように、明らかに戸惑いはあった。サプライズはなさそう。

 河西 我々には長谷部の登場がサプライズだったね(笑い)。今後の森保ジャパンに期待することは?大迫の復帰で「4―3―3」に戻すことも一考すべきだと思うけど。

 古田土 「4―3―3」はB案にして、個人的には「4―2―3―1」を基本布陣にすべきだと思う。強豪国と対峙(たいじ)する上で、アンカー脇のスペースを自由に使われたら失点に直結する。大迫は前線でタメをつくれる存在だが、それは「押し込み続けられる」を意味しない。本番では9月シリーズで見せた守備とカウンターを軸にして、手堅さを取るべきだ。

 ▽日本代表―エクアドル代表VTR 日本は米国戦から先発全員を入れ替えて臨んだが、0―0の引き分けに終わった。エクアドルに押し込まれる場面も多かったが、GKシュミットがビッグセーブを連発。後半38分のPKも防ぎ、MOM級の活躍を見せた。先発のMF南野や三笘に代え、MF鎌田らを投入したことで攻撃が活性化。終盤は3バックもテストするなど、W杯本番に向けた強化試合として一定の収穫もあった。

 ◇河西 崇(かさい・たかし)山梨県出身の41歳。17年入社。五輪担当として主に陸上などを取材。今年1月からサッカー担当(鹿島)。

 ◇古田土 恵介(こたと・けいすけ)茨城県出身の37歳。18年入社。柏、FC東京などの担当を経て、今年1月から浦和を担当。

続きを表示

2022年9月29日のニュース