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ハリル監督救われた…分析ミス、選手選択ミスで後手後手采配

[ 2016年10月7日 05:30 ]

W杯アジア最終予選 ( 2016年10月6日    埼玉 )

<日本・イラク>後半、山口のゴールを喜ぶハリルホジッチ監督(右)
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 あと2分足らずでクビが飛んでいた。引き分け以下なら解任濃厚だった大一番。ロスタイムの劇弾で白星を手にしたハリルホジッチ監督は「素晴らしい試合ではなかったが、素晴らしい勇気を持った試合だった。選手は初めてピッチで叫んでいた。これを私は探していた」と声を張り上げた。

 深刻な分析ミスを犯していた。指揮官は相手が守備を固めることを予想していたが、序盤から押し込まれる想定外の展開。前半3分に右CKから左ポスト直撃のヘディングシュートを許した。GK西川は「相手があそこまで前から来るとは思わなかった」と証言。サイドアタッカーとして警戒していたモハナドがトップに配置されるなど分析と違う布陣にも戸惑い、チームは後手に回った。

 先発11人中8人が欧州組。岡崎、本田、清武、長谷部、吉田は所属クラブで十分な出場機会を得られていない。それでもJリーグのレベルの低さを指摘するハリルホジッチ監督は、試合勘のある国内組より“補欠”の欧州組を優先。本田、岡崎らのコンディション不良は明らかで「予測、リズムの変化に対する対応などプレー時間の少なさが影響した」と選手の選択ミスを認めた。

 さえない采配に業を煮やした選手は独自の判断で試合を進めていた。終盤に最終ラインの吉田を前線に上げたパワープレーは監督の指示ではない。吉田は「パワープレーの練習はしていなかったが、選手に共通理解があった」と明かした。ある選手は「監督の指示通りではボールが触れないもどかしさがあった。規律にプラスαした」と言う。指揮官は経験豊富な選手に救われていた。

 FIFAランク128位の格下に辛勝し首の皮一枚つながったが楽観視できる状況ではない。次戦は11日、最大のライバル・オーストラリアとアウェーで対戦する。西野技術委員長は「私の考えでは次(の結果次第)で監督を代えることはない」と説明したが、ぶざまな内容で敗れるようなことがあれば解任論が再燃するのは必至だ。ハリルホジッチ監督は「シャンパン2杯を飲んでも良い価値がある勝利。勝ち点3だけでなくメンタル的なことをチームは学んだ」と前向きだったが、予断を許さない、しびれる戦いは続く。

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