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オフト監督の元通訳 カンボジアで奮闘中

[ 2009年6月19日 07:46 ]

 サッカー発展途上の地で、若手選手の育成に情熱を注ぐ人がいる。日本代表監督も務めたハンス・オフト氏がJリーグ1部(J1)の磐田などで指揮を執った際に通訳だった手島淳さん(45)が、国際協力機構(JICA)のボランティアとして10日に再びカンボジアに渡った。

 最初にカンボジアに派遣された時はU―16(16歳以下)カンボジア代表の監督を任された。2007年秋に開かれたU―16アジア選手権予選では開催国のインドネシアを破るなど1勝2分け2敗。しかし、大会後に複数の選手の年齢詐称が発覚し、記録は全敗扱いとなった。旧ポル・ポト政権の圧政やその後の内戦の傷跡が残る同国で、手島さんは「大人が年齢詐称を仕組んでしまう」モラルの低さを痛感した。
 ただ一方で、忘れられない出来事もあった。素行が悪く、遠征先から強制的にチームを離れさせた選手が後日、自ら練習をやらせてくれと言ってきた。「ポル・ポトによって意見を抑えられてきた土壌があるが、子どもには自分の意見の言える人間になってほしい。サッカーが自立するきっかけになればいい」と、手応えをつかんだ。
 今回の派遣期間は来年4月まで。「一度乗り掛かった船が案外乗り心地がよかった。やらなきゃいけないことはたくさんある」。手島さんの情熱が衰えることはない。

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2009年6月19日のニュース