新人トップ7勝の田口「1年目はまず30勝できるように」

[ 2023年6月7日 10:20 ]

4日の阪神で新人トップ7勝目を挙げた田口
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 ▼日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く「書く書くしかじか」。今週は大阪本社の寺下厚司(39)が担当する。今年デビューしたJRA新人ジョッキーの中で、トップの7勝を挙げる田口貫太(19=大橋)にスポットを当てる。

 デビューから3カ月がたち、ルーキー田口はメキメキと力をつけている。週中は栗東トレセンで1日5、6頭の調教に騎乗。休む間もなく入れ替わりまたがり、午前中の調教が終われば交流競走が行われる地方競馬で騎乗することも。日々、経験を積みながら競馬のノウハウを吸収している。

 「最初は前検量から騎乗までのジョッキーの流れにもついて行くのがいっぱいいっぱいでした。最近は少しずつ一つのレースに対する準備や、作戦の考え方とかを自分でできるようになってきたかなと思います」

 4日の阪神7Rは1番人気スマートアイを見事勝利に導き、新人騎手トップのJRA7勝目をマーク。「レースに向けては新聞を見たり、映像も見ています。最初はレースに乗っていなかったのでイメージできませんでしたが、最近は自分でイメージしやすくなった感じですね」と明かす。

 7勝の内訳は京都4勝、阪神3勝。ここまでローカル開催では騎乗せず、本場に専念。ルーキーとしては珍しいケースだが、それには明確な意図があった。「大橋先生から、こっちで乗った方が経験豊富なジョッキーもたくさんいて学べることも多いと。そんな中で大橋先生が騎乗馬を用意してくださっていますので」と師匠への感謝を忘れない。

 新型コロナの5類移行以降、競馬場では騎手がウイナーズサークルでファンにサインする光景も復活。「勝った時は求められますし、時間がある限りはサインするようにしています。ジョッキーの人気というか、改めて花形だと気づかされますね」と憧れの職業に就けた喜びを口にする。

 騎手を目指すきっかけになったのは17年のダービー。両親が笠松の騎手という競馬一家で育ちながら、それまでは騎手に興味を持っていなかった。「スワーヴリチャードの馬主さんがお父さんの知り合いで、東京競馬場に応援しに行きました。馬主席から全体を見渡せましたし、ダービーのあの雰囲気が凄かったですね」と当時を振り返る。

 12万超の大観衆が詰めかけた光景に衝撃を受けた。「小さい頃から野球をずっとやっていたので本当にジョッキーに興味がなかったんですけど競馬場の人の多さ、迫力、歓声。凄いスポーツだなと思いました。格好いいな、いい職業だなと思いましたね」。目の前で観戦したダービーに出走したレイデオロ、スワーヴリチャード、アルアインの産駒は今年2歳戦デビュー。「あの時の子供がデビューするので乗ってみたいですね」と目を輝かせる。

 1年目の夏は栗東で日々、稽古にまたがり、中京や小倉など西日本の主場で騎乗する予定。「まだまだ課題は多いですけど、1年目はまず30勝できるように頑張りたいと思います」。取材が終わると「ありがとうございます」とまぶしい笑顔でぺこり。愛くるしいルーキーを応援したい。

 ◇田口 貫太(たぐち・かんた)2003年(平15)12月10日生まれ、岐阜県出身の19歳。両親はともに元騎手。父・輝彦さんは笠松所属で通算288勝を挙げ、現在は笠松の調教師。母・広美さん(旧姓・中島)は笠松初の女性ジョッキーとして通算120勝を挙げた。今年3月に騎手デビュー、同26日の阪神1R(レッツゴーローズ)でJRA初勝利。JRA通算166戦7勝(地方15戦3勝)。1メートル56、45キロ。血液型A。好きな芸能人はUVERworld。

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