【安田記念】ギャロップダイナの再来に期待

[ 2023年6月2日 05:25 ]

第36回安田記念で優勝したギャロップダイナ(右)
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 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、東京競馬場では安田記念が行われる。今年は第73回ではあるが、G1に昇格してからはちょうど40回目。昇格後3回目の86年に優勝したのが、オールドファンには懐かしいギャロップダイナだ。

 82年7月に新潟でデビュー。新馬勝ち後、しばらくは芝を中心に使われた。しかし「ゲートに難があったのでスタンドから距離のあるダートに使った」と当時、同馬を管理していた矢野進元調教師。結果、ケガの功名でダート巧者であることが判明。白星を重ね、85年6月、札幌日経賞(ダート1800メートル)に出走。スタート直後に落馬したが、カラ馬のまま好位を追走すると、ゴール前きっちりと抜け出して先頭で入線(もちろん記録は競走中止)。その走りっぷりは当時、話題となった。

 それから5カ月とたたぬうち、ギャロップダイナの名は、再び新聞紙面をにぎわせる。「まだ条件馬だったので自己条件に使おうと考えていたら、吉田善哉オーナー(故人、社台グループ創業者、馬の所有名義は社台レースホース)に“使えるなら天皇賞に使ってください”と言われました」と矢野氏。格上挑戦で天皇賞・秋に出走。13番人気の低評価を覆し、当時12戦11勝だった前年の3冠馬シンボリルドルフをゴール前で差し切って優勝。大番狂わせを演じてみせた。

 「ところが表彰式に出たのは(息子の吉田)勝己さんでした。善哉社長は勝てると思っていなかったのか、関西の競馬場へ行っていたようです」。後に矢野氏は笑いながらそう語った。

 さて、皇帝シンボリルドルフに勝った直後は「展開のあや」「ハマった」などと揶揄(やゆ)されたギャロップダイナだが、冒頭で記したように翌86年には安田記念を優勝。自らの走りで、天皇賞がフロック勝ちではないことを証明した。

 さて、今年の安田記念は“アッと言わせるギャロップダイナ”のような存在が出てくるだろうか?期待したい。 (フリーライター)

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