【根岸S】1番人気レモンポップが重賞初勝利 期待の大器ついに開眼 田中博師「まだ成長を感じる」

[ 2023年1月30日 05:29 ]

<東京11R・根岸S>抜群の手応えで抜け出し、レースを制したレモンポップ(右)=撮影・村上 大輔
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 「第37回根岸S」が29日、東京競馬場で行われ、1番人気のレモンポップ(牡5)が押し切って重賞初勝利。管理する田中博康調教師(37)も初の重賞タイトルを獲得し、この勝利でフェブラリーS(2月19日、東京)優先出走権を確保した。

 念願の初タイトルだ。検量室前で記者から祝福されると、いつも謙虚な田中博師の口角が少しだけ上がる。「早く重賞を獲りたいな、とは思っていました。でも、いつかは獲れるだろうなと信じていたので焦りはなかった。優秀なスタッフが頑張って育ててくれました」と満足そうな表情をのぞかせた。

 ダート界の新スター誕生を予感させる完勝劇だった。スタートで後手に回ったレモンポップだったが、持ち前の卓越した競馬センスで徐々に好位を確保する。折り合いを欠くこともなく、手応え十分で迎えた直線。残り300メートルであっさり先頭に立つと、外からギルデッドミラーが迫ってくる中で驚異の二枚腰を発揮。最後は半馬身しのぎ切った。単勝1・6倍の圧倒的支持に応え、これで10戦7勝。会心のレースを披露した鞍上の戸崎は「乗りやすい馬。どういうレースでも対応できる。パワー、スピード…全てが申し分ない。大きいところを狙える」と称賛。田中博師は「ジョッキーが慌てず乗って、よくしのいでくれた。時計を詰めているし、5歳にしてまだ成長を感じる。まだ前がかりの重心で、それが出遅れにつながっている。バランスのいい馬体になればもっと強くなる」と伸びしろに期待した。

 元ジョッキーで開業6年目の田中博師はここまで2着2回だった重賞に、延べ28頭目での挑戦で待ちに待った初勝利。昨年JRA通算100勝を達成するなど勢いに乗っている37歳は「管理馬の質も上がってきたし、厩舎全体でビジョンを共有できている」と充実を実感。レモンポップがフェブラリーSに向かうかは「オーナーと相談。距離延長がどうか。状態も見極めてから」だが、G1級の実力を備えているのは間違いない。レース後も戸崎とその可能性について協議を重ねた田中博師。G1タイトルはもう目の前にある。

 レモンポップ 父レモンドロップキッド 母アンリーチエイブル(母の父ジャイアンツコーズウェイ)18年2月15日生まれ 牡5歳 美浦・田中博厩舎所属 馬主・ゴドルフィン 生産者・米国ミスター&ミセス・オリヴァー・S・タイト 戦績10戦7勝(重賞初勝利) 総獲得賞金1億6503万6000円 馬名はレモンスカッシュの意味。

 ◇田中 博康(たなか・ひろやす)1985年(昭60)12月5日生まれ、埼玉県出身の37歳。06年、美浦・高橋祥泰厩舎で騎手デビュー。JRA通算129勝、09年エリザベス女王杯(クィーンスプマンテ)など同重賞3勝を挙げ17年に調教師免許取得。18年、美浦で開業し、JRA通算121勝(29日現在)。
 

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