【安田記念】ソングライン G1初制覇!池添が新マイル女王導く、大接戦制した愛馬に「偉い!偉い!」

[ 2022年6月6日 05:15 ]

<東京11R・安田記念>ルメール騎乗のシュネルマイスター(右)に競り勝ち安田記念を制した池添騎乗のソングライン(撮影・西川祐介)
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 世界を経験して馬は強くなる。春の東京G1・5連戦を締めくくる最強マイル王決定戦「第72回安田記念」が5日、東京競馬場で行われた。池添謙一(42)騎乗の4番人気ソングライン(牝4=林)が直線、外から豪快に伸びて差し切りG1初制覇。不利に泣いた前走ヴィクトリアマイル5着から力強く巻き返し、林徹師(43)もうれしいG1初制覇を果たした。

 1~11着までわずか0秒4差。下馬評通りの大接戦。首一つ抜け出したソングラインの馬上で池添が右手を上げた。「偉い!!偉い!!」。歓喜のウイニングラン。相棒を何度も指さし、3万2471人観衆に喝采を求めた。G1制覇はグランアレグリアで制した20年安田記念以来。あの時はなかった万雷の拍手が新たなマイル女王の誕生を祝福した。

 絶好のスタートから促して前へ。「前走(ヴィクトリアM5着)の位置取り争いで引いてしまった後悔がずっとあった。今回はポジションを取りに行った」(池添)。レシステンシアの後ろに収まりかけたが、さらに外からサリオスも積極策の構え。ここで手綱を抑えて先に行かせる。「馬とのリズムを大事にサリオスの後ろでリラックスできたのが大きかった」。人馬一体の押し引き。10番手で抜群に折り合った。

 4角、末脚を信じて迷わず外へ。残り1Fからは横一線の叩き合い。最後は、海外を経験した3頭に絞られた。粘るサリオス、内から強襲するシュネルマイスター、そして大外を伸びたソングライン。「サウジ遠征を経験し、精神、肉体ともに完成の域に達して馬が強くなった。最後もステッキに反応してもうひと伸びしてくれた」。タイム差なしの攻防は外に軍配。「“自分はG1でこそ”と思っている。昨年は勝てなかったので、年始に今年は勝つと決めていた」。ルメール、レーンとの叩き合いを制した池添は充実感をにじませた。

 一方、G1初制覇の林師は夢心地で愛馬を出迎えた。3頭の競り合いを制したサウジの1351ターフスプリントはG3。今回は伝統あるG1だ。「半分見ているようで、半分見ていない感じ」。ゴール寸前でシュネルマイスターに差された昨春NHKマイルCの敗戦が頭をよぎり、レースは直視できなかったという。中2週でも調教の強度を高め、ソングラインを至高の仕上げに導いた43歳の若き敏腕トレーナーは東大卒。両親の大反対を押し切って競馬の世界へ。「ずっと応援してくれている。“オヤジ、オカン、やったよ!”と伝えたいです」と声を震わせた。

 この勝利でブリーダーズCマイル(11月5日、米キーンランド)の優先出走権を獲得。国内マイルG1統一か、再度の海外遠征か。世界の強豪との戦いを経て完成したソングライン。その前途は無限に広がっている。

 ◆ソングライン 父キズナ 母ルミナスパレード(母の父シンボリクリスエス)牝4歳 18年3月4日生まれ 美浦・林厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績11戦5勝(うち海外1戦1勝、重賞3勝目) 総獲得賞金4億4166万9300円(海外含む) 馬名の由来はオーストラリアに伝わる道の名。祖先の足跡。

 【安田記念アラカルト】

 ☆騎手&調教師 池添のJRA・G1勝利は20年安田記念(グランアレグリア)以来で通算27勝目。林師は管理馬延べ13頭の出走で初勝利。

 ☆種牡馬 キズナ産駒のJRA・G1勝利は昨年エリザベス女王杯(アカイイト)以来で通算2勝目。

 ☆牝馬 牝馬の勝利は20年グランアレグリア以来で通算6勝目。

 ☆東VS西 関東馬は3年連続の勝利。G1昇格後の通算成績は関東馬19勝、関西馬17勝、外国馬3勝。関東馬のG1・1~3着独占は昨年の同レース以来。

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