【安田記念】ダノンキングリー“史上初”前走最下位からG1制覇、初騎乗の川田「特徴つかんでいた」

[ 2021年6月7日 05:30 ]

安田記念を制したダノンキングリー(手前。奥はグランアレグリア)=撮影・郡司 修
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 春の東京G1・5連戦を締めくくる最強マイル王決定戦「第71回安田記念」が6日、東京競馬場で行われた。直線の外を豪快に伸びた8番人気ダノンキングリーが断然人気グランアレグリアに頭差競り勝ち、G1挑戦7度目で初V。84年のグレード制導入後、前走最下位着順(天皇賞・秋12着)からのG1制覇はJRA所属馬で初の快挙。皐月賞(3着)、ダービー(2着)で涙をのんだ永遠のG1候補が、初コンビ川田将雅(35)の好騎乗でついに花開いた。

 2年前の無念をついに笑顔に変えた。新コンビ川田が迷わず外に持ち出した直線。ダノンキングリーの鬼脚に火がついた。ライバルを抜き去ったゴール寸前、内にまだ1頭いた。

 「3コーナーのリズムも良く、これなら伸びてくれると…。内を捉えていく中、やっぱりグランアレグリアがいました。優勝の確信?向正面まで分からなかったです。オーナーにG1をプレゼントすることができて本当にうれしいです」

 初騎乗でG1初制覇。大仕事の川田は笑顔。

 「同じ競馬も乗って特徴はつかんでいた。初めて乗るのに初めてじゃないみたいな感じ。これまでも声を掛けていただき、初めて乗せていただきました」

 2年前、川田はヴェロックスでクラシックを歩んだ。キングリーは皐月賞3着、ダービー2着。肌で底力を感じていた。だからこそ、昨秋天皇賞で最下位に沈んだライバルの騎乗依頼に燃えた。「位置とかでなく、この馬のリズムを大事にしよう」。愛馬を信じグランアレグリアを撃破した。

 G1挑戦7度目での悲願成就。萩原師は「ジョッキーの好騎乗に尽きます」と唇をかみしめた。ダービーで3番人気、昨春大阪杯(3着)で1番人気に推されたG1候補が8番人気。昨秋天皇賞から約7カ月ぶりの実戦。前走最下位馬のG1制覇はJRA所属馬では初快挙。4月1日に美浦に帰厩した後は美浦の施設をフル活用した。この外厩全盛時代に美浦で消化した追い切りは実に13回。JRA・G1・4勝目の指揮官は「G1で2着まできた馬。G1を獲らせてあげたいと思っていました。(昨秋天皇賞後は)出走できるレベルになるまで時間がかかりました。馬の力があったから勝てた。ジョッキーもこの馬の現状の力を把握し、十分に能力を発揮してくれた」と人馬を称えた。

 ダービーはロジャーバローズに「首差」の苦杯。あれから2年。諦めず鍛錬を積んだから、今度は「頭差」で勝利の女神がほほ笑んだ。G1馬6頭を撃破して真のマイル王へ。川田は「元々、能力は高い馬。これだけの凄いメンバーの中、勝ってくれた。この後もこの馬の歩みで進んでくれれば」と目を輝かせた。萩原師は「この馬の適性はつかめていない面もある。これからも応援お願いします」と今後を模索しながら頭を下げた。新馬を勝った東京、苦杯も味わった東京。思いが詰まった日本一の競馬場で、キングリーはついに「王様」になった。

 ◆ダノンキングリー 父ディープインパクト 母マイグッドネス(母の父ストームキャット)16年3月25日生まれ 美浦・萩原厩舎所属 馬主・(株)ダノックス 生産者・北海道浦河町・三嶋牧場 戦績12戦6勝(重賞4勝目) 総獲得賞金4億8779万6000円。馬名の由来は冠名(ダノン)に「王にふさわしい」。王位に君臨することを願って命名。

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