【ダービー】グレートマジシャン 宮田師“最年少&最短”40歳開業2年目でV狙う

[ 2021年5月26日 05:30 ]

グレートマジシャンでダービー制覇を目指す宮田師
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 ダービー制覇を期す戸崎圭太が騎乗するグレートマジシャンを送り出すのは、美浦の次代を担う2年目の宮田敬介師(40)。ダービーで厩舎初のG1に挑戦する気鋭のトレーナーが胸の内を明かした。

 名馬に育てられた。宮田師には忘れられない光景がある。技術調教師として同行した19年アーモンドアイのドバイ遠征。名牝の世界制覇を目の当たりにした。「あの日、あの場にいられたことは僕にとってかけがえのない財産です」。ノーザンファーム時代には、デビュー前のディープインパクトにまたがった経験もある。競馬史に残るスターホースたちとの出合いは調教師・宮田の礎となった。

 今度は自分の厩舎から名馬を――。「アーモンドが見せてくれた景色を、厩舎の皆に見せたい。ホースマンとして一回り大きくなれると思うんです」。そう願う師のもとに、夢をかなえてくれるかもしれない逸材はすぐ現れた。グレートマジシャン。20年開業の宮田厩舎“第1世代”として入厩した若駒。

 「2歳の3、4月までは他の馬より育成が1周遅れている感じ。奥手な馬なので牧場(ノーザンファーム早来)でじっくりと成長を促してもらいました」。6月に入厩してからもゲート試験にてこずるなど、精神面の幼さを見せた。「当時はまさかダービーの有力馬になるなんて考えていなかった」と振り返る。

 秋を迎えてデビュー戦に向けてトレーニングを本格化すると、強い調教を楽にこなし、併せ馬で格上馬をあおった。高まる期待通りに新馬戦→セントポーリア賞を完勝。「ソエ(成長途上の若駒に発症しやすい炎症)をケアしながらの調整でも、想像以上の強さでした」。クラシック挑戦へ手応えを感じる連勝。その思いを確信に変えたのは、セントポーリア賞のレース後に藤沢和師から掛けられたひと言だった。「あの藤沢先生が“この馬は凄いぞ”と。凄くうれしかったですね」

 前走・毎日杯は2着。賞金面でダービー出走当確ではなかったが、大事に育てる信念を貫き、直行を決断した。「ずっと出走ボーダー上を行ったり来たり。やきもきしていた分、今は緊張感がグッと高まりました(笑い)。でも、出ることで終わりじゃない。結果を求めていきたい」

 開業2年目、40歳でダービートレーナーとなれば、グレード制導入以降では最速、最年少。「一流の馬特有の加速力がある馬。手脚が長く、血統的にも長い距離は合うはず。当然、チャンスがあると思っています」と気負いなく話す。日本を代表する名馬に育てられた男がほれ込む優駿。ベールに包まれた潜在能力の全てをいよいよ解き放つ。

 ≪これまでの「最年少」42歳4カ月17日「最短」開業7年目≫グレード制導入以降、最年少でダービーを勝ったのは、11年オルフェーヴルの池江師で42歳4カ月17日。また、開業年数では松田国英、角居勝彦(ともに引退)の7年目が最速だ。「まだまだその方たちと比べられるのは恐れ多い」と苦笑いする宮田師だが、「最初の世代からダービーに出走できる馬がいるのは幸運だし光栄。今やれることをやっていきたい」と最速&最年少Vに気合十分。

 ◆宮田 敬介(みやた・けいすけ)1980年(昭55)10月8日生まれ、茨城県出身の40歳。小学生の頃に見た90年有馬記念(オグリキャップ)に感動して競馬の世界を志す。約2年半、ノーザンファームに勤務した後、05年に競馬学校厩務員課程に入学。翌06年から栗田博、田島俊、国枝厩舎を渡り歩いた。助手時代の思い出の担当馬はダノンプラチナ(14年朝日杯FS)。座右の銘は「人間万事塞翁が馬」。

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