【NHKマイルC】藤井正弘氏が語るドイツ血統 日本のスピード血統と理想的相互補完

[ 2021年5月10日 05:30 ]

<NHKマイルカップ>レースを制したシュネルマイスター(左から2頭目)。右は2着のソングライン(撮影・郡司 修)
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 ドイツ産馬によるJRA・G1制覇はランド以来ですが、そもそもドイツからは競走馬がほとんど入っていません。輸入するのは繁殖牝馬です。シュネルマイスターも独オークス馬である母のセリエンホルデと同時に輸入されました。実質的には欧州マイル王キングマンの持ち込み馬に近いと言えます。

 ドイツの馬産はある意味閉鎖的で国内の繁殖を非常に重視しています。母の馬名の頭文字を子も受け継ぐという伝統は、その象徴かもしれません。特徴を一言で言うなら頑健さ。長く守られてきた血脈の独自性がアウトブリードで効果を発揮します。マンハッタンカフェ、ブエナビスタ、そしてシュネルマイスターの同族であるサリオスなどが代表例で、日本の芝で進化したスピード血統とは理想的な相互補完が成立するわけです。ノーザンファームを筆頭とした日本の生産者がドイツの血統に求めるものもまさにその部分でしょう。

 シュネルマイスターの母セリエンホルデも恐らく日本で大牝系を築くことになるでしょう。今後も日本とドイツの“蜜月”は続くはずです。(サラブレッド血統センター)

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