【福岡・ボートレースクラシック】石野 SG9V!コンマ11トップSで圧逃「自信持ってできた」

[ 2021年3月29日 05:30 ]

<福岡・ボートレースクラシック>ボート上でガッツポーズする優勝した石野

 ボートレース福岡「SG第56回ボートレースクラシック」優勝戦が28日、第12Rで行われ、石野貴之(38=大阪)がインから逃げ切って優勝した。19年12月の住之江グランプリ以来、9度目となるSG制覇を達成。優勝賞金3900万円を獲得し、今年の獲得賞金1位に躍り出た。2着には1番差しで続いた地元・福岡の篠崎仁志。2周2Mで先行する稲田浩二を追い抜いた守田俊介が3着となった。

 雑音を振り払うように、石野が力強くゴールを駆け抜けた。頂点を極めた19年住之江グランプリ以来のSG制覇。観衆の声援に応える様子も、どこか誇らしげだ。それもそのはず、コンマ11のトップスタートを決めて1Mは他を全く寄せつけない。2番手を走る篠崎以下との差をグイグイ広げる圧巻の内容だった。

 「しっかりとスタートを行けば捲られないと思っていたし、寺田さんや前本さんを除けば抜けた足だった。最近では珍しいくらい出足がしっかりしていたので、自信をもってレースができました」

 石野のSGコレクションに、初めて刻まれたクラシックの文字。そんな9つ目のタイトルは重圧に打ち勝ってのものだった。優勝戦当日は珍しく緊張した表情。午前中は雨が降り、午後は晴れ間が出て気温が上昇する難しいコンディションが石野から笑顔を奪ったようだ。気象条件が変わるたびに不安を打ち消すように試運転を重ねた。

 「ゴールした瞬間はホッとしました。今の自分の状況だったり、レースぶりは分かっているので不安はありました。SGの優勝戦でここまで緊張したことはなかったし、いい経験にはなったと思います」

 19年の栄光から一転し、昨年はSG優出なし。スタート事故が重なった影響は今も色濃く残り、現在勝率は5点台後半。優出インタビューでは「A2級でグランプリに行きたい」と報道陣を笑わせたが、厳しい状況は十分に把握している。

 「今節はたまたまエンジンに助けられたので、これで改善するかどうか分からないけど、光は見えたのかな。あえて言葉にすることではないと思うけど、自分なりに原因は、はっきり分かっています。もちろんグランプリは目指すところではあるけど、今はまだ大きなことは言えません」

 賞金ランク1位浮上にも気を緩めることはなかった。4月には厳しいA1勝負駆けの日々。光と影が混在している。今回のSG制覇で見えた確かな光を頼りにして――。石野は完全復活の道を歩み続ける。

 ◆石野 貴之(いしの・たかゆき)1982年(昭57)6月3日、大阪府出身の38歳。90期生として02年5月に住之江でデビュー。10年まるがめオーシャンカップでSG初優出初V。19年グランプリなど、SGは今回で9冠目。主な同期に吉田拡郎、赤坂俊輔、宇野弥生ら。1メートル66、血液型O。

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