【有馬記念】中山巧者カレンブーケドール 国枝師マジック再び

[ 2020年12月25日 05:30 ]

07年の有馬記念、直線で内から鋭く伸びて優勝したマツリダゴッホ
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 【平松さとし・競馬人生劇場】2007年の有馬記念。1番人気に推されたのは武豊騎手の乗るメイショウサムソン。前年、皐月賞と日本ダービーの2冠を制した同馬はこの年、春秋の天皇賞を優勝。ジャパンCでも3着に好走し、グランプリに駒を進めてきた。単勝2.4倍の1番人気もうなずける実力馬だった。

 一方、国枝栄調教師が送り込んだマツリダゴッホは9番人気で単勝は52.3倍。直前に走った天皇賞・秋が勝ち馬メイショウサムソンから2秒近く離される15着だったのだから“むべなるかな”と思われた。

 しかし、ひそかに期待を抱いている男がいた。管理する国枝調教師だ。「とにかく中山巧者でした。東京の天皇賞を大きく負けた時点でジャパンCをパスして目標を有馬記念一本に絞ったら良い状態に戻った。だから“内枠でも引いてジッとしていれば面白いんじゃないかな?”って考えていました」

 結果はまさに思い描いていた通り。3番枠からスタートを決めると終始インの3番手をキープ。最後の直線では内から見事にスルリと抜け出して優勝。名調教師の采配が光った一戦だった。

 そんな国枝調教師が今年、送り込むのがカレンブーケドールだ。「ディープインパクト産駒にしては地味だけど常に善戦をしています」。今春は現地入りしたドバイの競馬が中止。帰国後は輸送で疲れてしまったが、そこで1度完全休養させたのが吉と出る。

 「休養前以上の良い感じで戻ってきて、その後も使うたびに上昇しています」。前走のジャパンCはアーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトという3頭の3冠馬に続く4着。「以前はあった爪の不安も現在は解消し、悪いところが見当たらない」と言う。

 過去3戦の中山は1、3、2着。デビュー以来12戦、掲示板を外していないのだから当然だが、小回り急坂のこのコースでも堅実に結果を残しているのはマツリダゴッホと同様だ。長らく厩舎を引っ張ってきたアーモンドアイからバトンを受け継ぐか。注目したい。(フリーライター)

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2020年12月25日のニュース