【レパードS】越後はやっぱりケンシンコウ!上杉謙信ばり妙手で重賞初&コースレコードV

[ 2020年8月10日 05:30 ]

<レパードS>レースを制したケンシンコウ。鞍上の丸山はガッツポーズ(撮影・郡司 修)
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 越後といえば「謙信公」だ。真夏の3歳砂王を決する「第12回レパードS」が9日、新潟競馬場で行われ、7番人気の伏兵ケンシンコウが1分49秒2のコースレコードで鮮やかな逃げ切り。当地の名将・上杉謙信ばりの妙手で重賞初制覇を飾った。

 雨に煙る砂の戦場に「越後の龍」が舞い降りた。新潟が生んだ名将・上杉謙信をほうふつさせるケンシンコウ。最内1番枠から打った攻め手は逃げ。「できれば逃げたくなかった」。苦笑いで振り返った丸山だが、馬は闘争本能むき出しで進む。「抑え切れない手応えだった」。1角のコーナリングでハナを奪った。徐々にリードを広げ、直線は独走態勢。「先頭に立ったらリラックスして走れた。4角も直線も手応え抜群。終わってみれば強かった」。“名軍師”の好判断に導かれ、09年麒麟山特別でトランセンドがマークした1分49秒5を0秒3更新するコースレコードV。並み居る強敵に影すら踏ませなかった。

 これまでは末一手だった愛馬の鮮やかな逃げ切りに、小西師は驚きを隠さない。「速い馬がたくさんいたから、てっきり後ろから行くと思っていた。スタートしてみないと分からないものだね。1枠を利してうまく逃げた」。まずは好騎乗を称えた上で続けた。「ロスなく回れたし、軽い馬場も味方した。まだ気性面に課題があるが、今日は全てがいい方に出たね」。先行馬が止まらず、追い込み勢には厳しい不良馬場。臨機応変の勝負手は、戦上手で「軍神」の異名も取った謙信公そのものだ。

 天野克彦オーナーが友人の名から命名したケンシンコウだが、越後の大舞台で敵を圧倒した姿に、名将の面影がかぶる。小西師は“次の戦場”を明言しなかったが「思った以上の強さで秋が楽しみになった。今後は古馬と一緒に走ることになる」と、さらなる進軍を誓った。武田信玄と川中島で5度にわたって対峙(たいじ)し、手取川の戦いでは、あの織田信長を退けた名将。天下統一への道半ばで病に倒れたが、競馬界の「謙信公」の覇道は始まったばかり。攻め手を増やしダート界の天下統一へ。競馬だけでなく、戦国武将ファンの心もくすぐりながら、出世街道を突き進む。 

 ◆ケンシンコウ 父パイロ 母マトゥリアルカ(母の父クリプティックラスカル)牡3歳 美浦・小西厩舎所属 馬主・天野克彦氏 生産者・北海道新ひだか町の静内山田牧場 戦績7戦3勝 総獲得賞金6353万6000円。 

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