【弥生賞】孝行息子フラッグV!ディープ記念でディープ産駒が史上初の快挙 05年と同じ武を背に

[ 2020年3月9日 05:30 ]

弥生賞ディープインパクト記念を制した武豊騎乗のサトノフラッグ(撮影・西川祐介)
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 今年から3冠馬の馬名が冠された皐月賞TR「第57回弥生賞ディープインパクト記念」が8日、中山競馬場で行われ、ディープインパクト産駒のサトノフラッグが快勝。鞍上の武豊(50)は96~98年、05~07年、10年に続いて、このレース8勝目。ディープ産駒は16年から5年連続V(通算6勝)となった。05年Vの父の手綱も取ったレジェンドが、その産駒で記念すべき“初代王者”の座を獲得した。2着ワーケア、3着オーソリティまでが皐月賞(4月19日、中山)の優先出走権を手にした。 レース結果

 父ディープインパクトの背中を唯一知る武豊。息子サトノフラッグに騎乗した瞬間から手応えは感じていた。「今日初めてまたがったが、馬上から眺める感じはディープに似ていた。走りそうだな。そう思ってゲートインしました」

 道中は中団より後ろ。縦長の展開の後方4頭目を追走した。3角手前で一気に差を詰めると、馬群の大外を抜群の手応えで進出する。その姿は05年Vの父と全く同じ。「3角で馬が自分から上がっていった。お父さんが中山を走った時と同じ感覚。思い出しましたね」。直線は馬場の中央に持ち出しての横綱相撲。父は首差の辛勝だったが、息子は2着ワーケアに1馬身3/4差をつける完勝だった。

 父の名が冠された記念すべき“第1回”に孝行息子が名を刻んだ。その父は昨夏に急死。「産駒がこのレースを走るのも残りわずか。だから勝ちたいという気持ちが強かった。少ないチャンスの中で騎乗機会をいただいて、いいレースができたのは良かった」。名手はしみじみと喜びをかみしめた。3冠馬の馬名が冠されたレースはシンザン記念、セントライト記念とあるが、冠馬の産駒が当該レースに優勝したのは史上初。加えて武豊はデビューした87年から前人未到の34年連続重賞Vを達成。「年がバレますね」と笑ったが、競馬史に残る節目の勝利をいともあっさりと飾るのは、さすが千両役者だ。

 「今日の勝ちっぷりなら、もっと強くなる。良馬場ならさらに走れそう。楽しみですね」。本番での活躍も保証した武豊だが、クラシック戦線には他にもお手馬がいて、次の騎乗は流動的。寒の戻りを呼んだ冷たい雨風に翻ったフラッグが、1カ月後の新緑の季節に再びはためくか。今度は大観衆の前で…。その背に名手の姿があることを今回はテレビ観戦に甘んじたファンも望んでいる。

 <「3冠馬名レース」“第1回”いきなり>3冠馬の名を冠した重賞は現在3競走。セントライト記念における、産駒の最高着順は1948年、2番人気ヨシノの4着。シンザン記念は1971年、5番人気のシングンの2着。“第1回”をいきなり制したディープインパクトは、さすがだ。

 ◆サトノフラッグ 父ディープインパクト 母バラダセール(母の父ノットフォーセール)牡3歳 美浦・国枝厩舎所属 馬主・サトミホースカンパニー 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績4戦3勝 総獲得賞金6708万4000円。

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